平成162004)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

16−共研−2032

専門分類

7

研究課題名

脊椎動物におけるアミノ酸サイト別進化速度についての研究

フリガナ

代表者氏名

ワダ ヤスヒコ

和田 康彦

ローマ字

Wada Yasuhiko

所属機関

佐賀大学

所属部局

農学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

  ここ数年の間に、ヒトやマウスのゲノム塩基配列が決定され、かなりの割合で遺伝子領域も特定されてきた。また、他の脊椎動物においても、ゲノム塩基配列の解読作業が進んでいる。これによって、それぞれの遺伝子がどのような種類のタンパク質をコードしているかが明らかとなってきている。しかし、それらのタンパク質において、どの部分が重要な機能を持っているのかなどは不明なものが多い。また、医学、薬学、農学等への応用を考える場合には、種間の生理機能の差に関与するタンパク質の構造の違いについて詳細に把握する必要がある。

 本研究では、数種類の脊椎動物から各種遺伝子の塩基配列を収集し、分子進化学的なアプローチによって、これらの問題に対処する。特に、アミノ酸サイト別の進化速度の違いからアミノ酸サイトの機能的制約を把握し、ポジティブセレクションサイトを検出することによって、遺伝子重複による新規機能遺伝子が生じた局面を特定し、新規機能を推察する手法を検討する。また、これらの情報とタンパク質の3次元構造との間の関連性を評価する手法を開発し、新規機能とタンパク質の3次元構造との関連を考察する。

本年度は、魚類、鳥類、哺乳類のエストロゲン受容体α遺伝子とエストロゲン受容体β間のリガンド結合領域における機能の相違を、アミノ酸サイト別のレイトシフト法で分析するとともに、エストロゲン受容体のサブタイプの機能変化に関わる機能的残基を事後確率と尤度比検定を用いて予測した。

さらに、それらの結果を3次元構造マッピングを組み合わせることにより、リガンド結合であるか、2量体化のためのインターフェースであるかといった機能を、予測された残基について判別することが可能となった。 この複合アプローチは実験におけるターゲットとなりうる機能的残基をスクリーニングすることが可能を可能とする手法である。 また、このアプローチによってエストロゲン受容体ファミリーのアミノ酸配列と機能の間の関連性についての新しい知見をもたらした。

また、豚のCAR受容体遺伝子をクローニングし、A/B領域、C領域(DNA結合領域)、D領域、E/F領域(リガンド結合領域)について、それぞれヒトやマウスとの間のアミノ酸置換率やサイト別進化速度を算出し、他の核内受容体とのそれらの値の比較を行った。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文

Feng Wang, Hirohisa Kishino, Yasuhiko Wada : “Predicting Functionally Important Residues by Site Rate Shift Analysis and 3D Structural Mapping”, Bull. Fac. Agr. Saga Univ. No.90 In press.




 学会発表

   Pattanapong Thadtha, Yoshiyuki Yamada, Jun Piao, Yasuhiko Wada : “Nucleotide sequence of constitutive androstane receptor (CAR) mRNA of Japanese quail.” In 29th International Conference on Animal Genetics. September 14, 2004, Tokyo

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

柏木 宣久

統計数理研究所