平成192007)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

19−共研−2043

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

3

研究課題名

新生児の自発運動の解析

フリガナ

代表者氏名

ナカノ ジュンジ

中野 純司

ローマ字

NAKANO JUNJI

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

70千円

研究参加者数

6 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

胎児や新生児が、外から刺激を受けずに自発的に運動していることはよく知られている。自発運動は胎生8〜9週頃から出現し、12週頃にはほとんどの種類の自発運動が見られるようになる。その後しばらくは大きな変化がなく、出生後も持続し、随意運動の出現する15〜20週頃まで観察される。その中でもGeneral movements (GMs) は、Prechtlらが、早期および満期産の新生児において、自発運動の中でも頻繁に出現し、区別できる運動パターンを見いだし、命名したものである。この自発運動は外的な刺激に関係なく、内因性に発生してくる運動活動であると考えられており、彼らのグループは、GMsの質の変化が胎児や早期産児の神経学的後遺症の指標になることを報告し、GMsの評価診断法を確立した。彼らはGMsを「全身を含む粗大運動で四肢いずれかの部分から始まり、次第に全体をスムーズに動かす一連の運動で、数十秒から数分続き、途中運動の強度、振幅、速度が変化する。運動の性質は優雅で流暢であり、複雑な指の運動や体の回旋運動を伴う。」と定義した。また、画像診断や従来の神経学的検査法に加え、乳児のGMsを評価することにより、将来的発達の予後予測の確実性が増加する、と報告している。本研究はこのように定性的に定義されるGMsを含む自発運動の特徴を、時系列解析や非線型予測法などを用いて定量的に捉えることを目的とする。
 本研究参加者は、長野こども病院などで、ビデオ画像の2次元または3次元画像処理装置を用いて新生児の自発運動を測定してきた。特に未熟児のGMsをいくつかの条件の下で観測し、そのデータを蓄積した。これらのデータを用いて、小西、中野(尚)、木原は定性的な分析を行ってきたが、それらも考慮しながら、多賀は非線形予測の観点から、中野(純)は時系列解析の観点から、高谷は発達心理学の観点からデータの特徴を定量的に把握しようとしている。今年度は特に未熟児のポジショニング(保育器の中で、タオルなどで体を固定し、姿勢を安定させること)がGMsにおよぼす、またはおよぼさない影響を考察した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表

木原秀樹、ワークショップ4:赤ちゃんの発達を支援するケア−入院時から退院後へのフォローアップ、日本周産期・新生児医学会雑誌、第43巻4号、1021-1024

木原秀樹、中村友彦、廣間武彦、上條正義、早産児における安静時の自律神経活動の経時的変化、日本周産期・新生児医学会雑誌、第43巻4号、1074-1078

木原秀樹、中野尚子、高谷理恵子、廣間武彦、中村友彦、小西行郎、極低出生体重児のGeneral Movements(GMs)評価と3歳時の発達予後の関係、日本周産期・新生児医学会雑誌 第44巻3号(印刷中)

中野尚子、小さく生まれた赤ちゃんの発達をサポートし続けて〜低出生体重児に対するポジショニングから乳幼児の発達サポート〜、乳児保育と赤ちゃん学、2、42-46、2007

中野尚子、自発運動の評価 ?General Movements?(分担執筆)、新生児理学療法、木原秀樹、大城昌平編集、135-143、メディカルプレス、2008

学会発表

高谷理恵子、 緑川晶、乳児のリーチングに先行する前頭部ヘモグロビン動態変化、 日本赤ちゃん学会第7回 学術集会

Nakano H、 Kihara H、 Nakano J、 Shimura Y、 Konishi Y、 The effect of the mother talking on the general movements of newborn infants、 WCPT、 Vancouver、 2007

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木原 秀樹

長野県立こども病院

小西 行郎

東京女子医科大学

多賀 厳太郎

東京大学

高谷 理恵子

福島大学

中野 尚子

東京女子医科大学