昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−27

専門分類

3

研究課題名

自己回帰モデルによる小児の生体情報処理の発達に関する研究

フリガナ

代表者氏名

オガワ テルユキ

小川 昭之

ローマ字

所属機関

重症心身障害児施設「恵の聖母の家」

所属部局

職  名

園長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

生体は発達にともなって外的環境の刺激に対応して応答をおこしつつ,あるものはすてさり,あるものは記憶しながら学習し,内的環境を正常状態に保つべく揺らぎながら成長している。脳波,心臓拍動,姿勢などの揺らぎもまた,「生体系」に対してたえず与えられる多種多様の無数の「刺激」(入力)によっておこされる「応答」(出力)と考えることができる。新生児(含未熟児)から思春期に至る正常児や各種疾患患児の“揺らぎ”に自己回帰解析を施し,生体情報処理活動機構の発達にともなう特性や,それぞれの“揺らぎ”間の応答活動を知る。


目的と研究状況
生体は発達にともなって外的環境の刺激に対応して応答をおこしつつ,あるものは捨て去り,あるものは記憶しながら学習し,内的環境を正常状態に保つべく揺らぎながら成長している。脳波,心拍,姿勢などの揺らぎもまた,「生体系」に対してたえず与えられる多種多様の無数の「刺激」(入力)によっておこされる「応答(出力)と考えることができる。そこで,我々は新生児(生直後)から思春期に至る正常児や異常児の“揺らぎ”に自己回帰モデルを適用し,生体情報処理活動機構の発達にともなう変化の特性や,それぞれのパラノーター間の応答活動を知ることを目的として研究している。
共同研究問題点と成果
1.サンプリング周期の相異なる時系列データ間のインパルス応答の求め方について:
我々は新生児の生直後から脳波(20mscc),呼吸曲線(200msec)心電図R−R間隔(400msec),経皮酸素濃度(2sec),血圧(2sec)のサンプリング間隔で生後7日間,連続してデータを取り込んでいる。
このような場合,それぞれのパラメータのパワースペクトルを求めることはできるが,各パライーター間のパワー寄与率を求めるには如何にすべきであろうか?
パワー特性根の動きをみることが,時定数の異る時系列の比較に有効ではないかと検討されたが,大変興味深い問題であるので,昭和63年度に引続いて研究を行うことになった。
ただ,差し当って,心拍R−R間隔変動に対する呼吸運動のインパルス応答はRR間隔のサンプリングに補間法を施すことによって解釈されうる可能性が見出された。今後,生データを持参して検討する予定である。
2.連続した脳波時系列データを一定の個数を1区間とする時,各区間のAICを求め,AICの値によって連続各区間の有意差の有無を検定する方法:
今後これアルゴリズムを用いて連続脳波上,異常脳波部位の検出に使用できるか否かを検討することとした。
3.自己回帰モデルによる2つの2次元脳電図間のパターン識別システムを開発したが,脳波導出部位によってAICの次数が異なる場合の対応について検討し,解釈することができた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1.小児脳波集団検診高速自動スクリーニングシステムの開発に関する研究(第6報)11,12歳の周波数特性。第90回日本小児科学会(東京,昭和62.4.2)
2.自己回帰モデルによる小児期起立姿勢制御の解析と発達特性(第3報)11,12歳の周波数特性,第90回日本小児科学会(東京,昭62.4.2)
3.心電図R−R間隔の自己回帰解析と発達特性(第1報)理論と方法
第90回日本小児科学会(同上)
4.葉己回帰モデルによる2次元脳電回のパターン識別
第29回小児神経学会(東京,昭62.7.2)
5.自己回帰モデルによる新生児静・動睡眠期2次元脳電図の発達特性に関する研究(第1報)受胎後37〜39週正常健康早産児
第30回小児神経学会(徳島,昭63.6.9)発表予定


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

我々は佐藤謙助(長崎大名誉教授)先生との共同研究で,上記生体情報の自己回帰解析・要素波解析(小野憲爾)を行っているが,以下の点で研究に困難を感じており,共同研究として理論的意味づけを知りたい。
1.次数の決定:8歳以上ではAICできめることができるが,年小児,新生児での脳波の次数,心臓拍動の次数決定に困難を感じる。
2.要素波解析によってえられたマイナス・パワーの取扱いと生理的意義。
3.サンプリング間隔の理論的決定:現在サンプリング間隔を1/2△tとして求めているが,脳波の場合は大凡これでよい結果がえられるが,姿勢制御,心拍変動ではどう取扱うべきか。
4.新生児の生体情報の自己回帰過程におけるホワイト・ノイズの意味。
5.脳波と心拍.姿勢との間のパワー寄与率の求め方。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

園田 浩富

大分医科大学