平成292017)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

29−共研−2041

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

3

研究課題名

データの有効活用技術としてのメタアナリシス

フリガナ

代表者氏名

タカハシ クニヒコ

高橋 邦彦

ローマ字

Takahashi Kunihiko

所属機関

名古屋大学

所属部局

大学院医学系研究科

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

201千円

研究参加者数

7 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 医学・健康科学分野において,治療の効果やリスクを評価した複数の研究結果を統合して,それらを定量化するメタアナリシスの議論が古くから行われ発展してきた。特に複数の無作為化比較試験での治療効果を統合するメタアナリシスについては代表的な統計的方法とともにその手順が提案されており,実際多くの研究が医学・疫学分野で行われている。そこで得られた結果は根拠に基づいた医療(EBM)において最高位の根拠と位置付けられている。また最近では,多変量メタアナリシス,ネットワークメタアナリシス,個人毎のデータと文献に基づく要約データの同時分析など,メタアナリシスの新たな方法論の研究もすすめられ,実践されてきている。
 一方,メタアナリシスの重要性が認識されてくるとともに,従来のメタアナリシスで想定されていない複雑な状況での適用の需要も高まってきている。しかしそれらの状況に適切な解析方法が開発されていないこともあり,標準的な方法を適用すべく,それらのデータの情報を有効に取り込まず単純化された評価のみ行われる研究や,時に適切とは言えない方法を強引に適用してしまった研究なども報告されている。
 本研究では,これらの情報を有効に活用できるようなメタアナリシスの方法論の検討を行う。また同様な研究結果の併合によって強固なエビデンスを作ることを目的とする古典的・標準的なメタアナリシスを超えて,個々の研究で触れられていない事項に対して回答を得る技術としてのメタアナリシスの役割と活用についても議論する。さらに実際の医学データに適用した実践研究も積極的に行う。
 本年度は研究会(メンバーの科研費研究会と共催,12月宮崎)を開催し,全員が参加のうえ進捗報告と研究課題に関する議論を行った。個別課題においても継続的に情報交換や討論する機会を複数回持ちながら,共同研究を実施した。また下記のように研究の成果を発表することができた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Horisaki K, Takahashi K, Ito H, Matsui S (2018). A dose-response meta-analysis of coffee consumption and colorectal cancer risk in the Japanese population: Application of a cubic-spline model. Journal of Epidemiology 28 (in press).
Hattori S, Zhou XH (2017). Sensitivity analysis for publication bias in meta-analysis of diagnostic studies for a continuous biomarker. Statistics in Medicine (in press)
Yoneoka D, Henmi M (2017). Meta-analytical synthesis of regression coefficients under different categorization scheme of contibuous covariates. Statistics in Medicine 36: 4336-4352.
Yoneoka D, Henmi M (2017). Synthesis of linear regression coefficients by recovering the within-study covariance matrix from summary statistics. Research Synthesis Methods 8: 212-219.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

「メタアナリシスにおける方法論の新展開とその実践」研究集会
日時:2017年12月26日(火) 〜 12月28日(木)
場所:宮崎県立看護大学
共催:科学研究費補助金基盤研究(C)「非線形用量反応関係の統合のための新たな方法論の開発と保健医療分野への応用」
参加人数:9名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

安齋 達彦

慶應義塾大学

貞嶋 栄司

社会医療法人天神会新古賀病院

中尾 裕之

宮崎県立看護大学

服部 聡

久留米大学

逸見 昌之

統計数理研究所

米岡 大輔

St. Jude Children's Research Hospital