平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−112

専門分類

7

研究課題名

TVCARを用いた時変スペクトル解析による循環器系自律神経調節機序の評価

フリガナ

代表者氏名

カメガイ マナブ

亀谷 学

ローマ字

所属機関

聖マリアンナ医科大学

所属部局

医学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

人体の循環器系調節は圧受容体反射統制下に自律神経系を介して行われるが,それは内外環境変化に即応する複雑な調節のため評価が難しい。本研究は,自作の圧受容体負荷法に迅速に反応する心拍血圧変動を時系列的に捉え,時変係数自己回帰モデル(TVCAR)を用いた時変スペクトル解析により刻々と変化する自律神経系調節機序を詳細に評価することを目的に行う。


(1) 健常男性7人(平均年齢22.4歳)を対象に,非観血的定量的頚動脈洞圧受容体刺激法であるNeck suction(NS)負荷施行時の心拍血圧呼吸変化を連続記録し(日本コーリン;CBM7000,OSCAR),時変係数自己回帰モデル(Time-Varying Coefficients Autoregressive Model;TVCAR)を用いた時変スペクトル解析を行った.心拍(RR),平均血圧(MAP) のスペクトル変化を鳥瞰図で表し,低周波成分(<0.15Hz,Lo)と高周波成分(0.15〜0.5Hz,Hi)を,それぞれ交感・副交感神経の指標とし,頚動脈洞圧受容体反射を介する自律神経活動の瞬時変化を経時的定性的に捉える方法を試作した.結果は,NS開始直後にRR-Hiは増加し,MAP-Loは減少から増加に推移し,呼吸数は不変であった.考察として,頚動脈洞圧受容体反射刺激に伴う自律神経活動の変化は,刺激後速やかに始まる副交感(心臓迷走)神経活動の増強と,それに続く交感(血管運動)神経活動の低下で,後者は血圧低下に反応した圧受容体抑制による交感神経活動の増加へと推移したものと考えられた.本法は頚動脈洞圧受容体反射刺激に伴う既知の自律神経活動変化を,秒単位の経時的推移として定性的に捉え得る点で優れていた.
(2) つぎに同一対象者4人に,睡眠不足による疲労時に(1)と同様の検討を行った.結果は,疲労時は副交感神経活動が増強し交感神経活動が減弱する傾向にあり,本法の臨床応用への有用性が示唆された.


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

佐々木俊雄,亀谷 学,山内正博,橋本信行,三須一彦,北川美恵,渡辺みどり,加茂
力,村山正博。
「疲労状態が循環調節に及ぼす影響?Neck suctionによる検討?」
第48回日本自律神経学会総会,1995年11月10日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

健常人と心臓血管系疾患患者を対象とし,(1)Neck suction,
(2)下半身陰圧負荷法(LBNP)や(3)Head - up tilt等の非観血的圧受容体負荷法を施行し,心拍血圧変化を連続記録し,時変係数自己回帰モデル(Time - Varying Coefficients
Autoregressive Model ; TVCAR)を用いた時変スペクトル解析を行う。負荷直後のスペクトル変化を鳥瞰図に表し,交感・副交感神経系活動を示唆する周波数帯のスペクトル変化から自律神経系調節機序を評価する。自律神経系調節は交感・副交感神経活動を指すが,これらは相互に干渉しかつ迅速に変化するため,通常の高速フーリエ変換を用いたスペクトル解析では詳細な検討はできない。北川らの開発によるTVCAR法を用いた時変スペクトル解析は秒単位の心拍血圧変動を評価できることから,循環器系自律神経調節に関する新知見が得られるものと考え,共同研究を計画した。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

加茂 力

聖マリアンナ医科大学

北川 源四郎

統計数理研究所

佐々木 俊雄

聖マリアンナ医科大学

橋本 信行

聖マリアンナ医科大学

三須 一彦

聖マリアンナ医科大学