平成61994)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

6−共研−10

専門分類

1

研究課題名

乱数に対する逆サイン法則とその応用

フリガナ

代表者氏名

タカシマ ケイゾウ

高嶋 恵三

ローマ字

所属機関

岡山理科大学

所属部局

応用数学科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

モンテカルロ法などの統計理論を応用した、計算機によるシミュレーションなどでは乱数は必要不可欠であるが、本研究では代表的な乱数である物理乱数やM系列乱数などの、実際に使用されている乱数に対する統計的検定に、random walkの汎関数の理論を応用することを目的とする。


擬似乱数に対して、ランダムウォークの汎関数の理論に基づく、統計的検定を応用することを研究した。ランダムウォークの汎関数としては、sojourn time, last visit time, first passage time, first return time, number of changes of sign, return number, Hamming weight 等を取り上げた。擬似乱数発生法としては、原始3項式に基づくM系列の他、原始5項式に基づくM系列、多数項の原始多項式に基づくM系列、線形合同法、原始3項式に基づく加算生成法、原始5項式に基づく加算生成法等を取り上げた。
これらの検定の結果、各汎関数に基づく検定間に統計的検定として、強弱があることが確認された。例えば、first passage time 検定と sojourn time 検定とでは、first passagetime 検定の方がより強力である。しかしながら、原始3項式に基づくM系列に対しては、sojourn time 検定の方がより明確に統計的偏りを検出できることも確認された。この事実は、原始3項式によるM系列がもつ Hamming weight に対する偏り、及び sojourn timeと Hamming weight の関係に起因すると思われる。
さらに、これらの考察より、多項式の倍数の個数に対する、ある予想も得られたが、これの理論的解明は今後の問題であろう。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Keizo Takashima : Sojourn Time Test for Maximum-length Linearly Recurring Sequences with Characteristic Primitive Trinomials, Journ. Japanese Society of Computational Statistics, vol. 7 no. 1 1994

Keizo Takashima : Statistical Tests for Pseudorandom Numbers by Random Walks, The Fifth Japan-China Simposium on Statistics, 1994, Oct.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成4年度、平成5年度の共同研究において、1次元のrandom walkの滞在時間に対する逆サイン法則を応用した統計的検定を、統計数理研究所の物理乱数や、M系列擬似乱数に対して行うことにより、それらの乱数の統計的性質を調べた。その結果、ある種のM系列疑似乱数の偏りを検出できた。
これらの成果をさらに発展させ、滞在時間の他の汎関数に対する確率法則を応用した統計的検定を行う必要がある。これらの検定は乱数の実際の使用に即した検定であり、種々の汎関数の検定を試みることにより、乱数のさらに詳しい統計的性質を調べることが可能になる。このためには、物理乱数発生装置や大型計算機などの設備の整った統計数理研究所との共同研究が必要不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上田 澄江

統計数理研究所

清水 良一

統計数理研究所