平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2051

分野分類

統計数理研究所内分野分類

f

主要研究分野分類

3

研究課題名

新生児の自発運動の解析

フリガナ

代表者氏名

タカヤ リエコ

高谷 理恵子

ローマ字

TAKAYA RIEKO

所属機関

福島大学

所属部局

人間発達文化学類

職  名

准教授

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

生まれて間もない時期の乳児の動きに,脳神経系の発達過程が反映されているという考え方は,小児神経学の分野から報告されている.Prechtlら(1993)は,乳児の全身の動きをgeneral movements (以下GM) と名づけ,GMの症例研究を重ねるなかで,GMには正常なパターンと異常なパターンがあることを示した.継続的に異常なGMを認める場合には,神経学的後遺症が示唆されるという.このような診断法は,非侵襲的で,乳児に負担をかけることがなく,何度も繰り返し行えるという利点がある.発達障害のリスクの高い早産児をあつかう臨床現場では,脳神経系の発達状態を示すといわれるGMの客観的・定量的な評価方法の確立とともに,その背後にある運動発達のメカニズムを明らかにすることが強く求められている.
そこで本研究では定性的に定義されるハイリスク乳児のGMの特徴を,時系列解析や非線型予測法などを用いて定量的に捉えることを目標としている.またGM評価の発達予後予測の信頼性についても調べる.
これまで撮りためてきたGMの診断で異常性が認められた乳児の中に,3歳時点での診断において,脳性麻痺や広汎性発達障害などの発達障害児が含まれることが明らかになっている.本年はこれらの診断をもう一度見直し,より客観的な診断方法を確立することを試みた.まず,複数の評価者の間の診断の一致度を定量的に確認した.次に診断の観点をある程度分割し,その観点から再診断を行い,それぞれにおいて評価者の一致度を確認した.その結果,評価者のバックグラウンドによる評価の違いや診断の分割の適切性などに関する知見を得ることができた.ただ,まだ実用的で再現性のある結果とは言えないので,今後,この方向で研究をさらに進めていく予定である.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高谷理恵子:低出生体重児の発達予後と自発運動. 児童心理学の進歩 2010年版 金子書房 149-175
Hisako Nakano, Hideki Kihara, Junji Nakano, Yukuo Konishi: The influence of positioning on spontaneous movements of preterm infants, J.Phys. Ther. Sci. 22, 337-344, 2010

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

木原 秀樹

長野県立こども病院

小西 行郎

同志社大学

多賀 厳太郎

東京大学

中野 純司

統計数理研究所

中野 尚子

杏林大学