昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−93

専門分類

8

研究課題名

縄文貝塚集落の領域問題における統計的分析

フリガナ

代表者氏名

ムラカミ マサカツ

村上 征勝

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

領域統計研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

東京湾沿岸貝塚文化(B.C.1万年〜B.C.300年)は,世界最大の貝塚を含め各種の縄文貝塚を築いてきた。従来の型式学的研究から大別すると,大型貝塚と小型貝塚に分類され,そこで考古学者はこの両者の関連をめぐり論争を展開してきたが,その成果は今一歩である。
従来この研究にはほとんど統計手法は用いられておらず,そこで現状打破を目的に多変量解析を導入する。また,日本モデルを提出することにより,広く環太平洋にみられる貝塚文化との比較を可能にさせたい。


環大平洋を広く見渡して,日本の,とりわけ東京湾に臨む千葉県に残存する古代貝塚は,カリフォルニア,ニュージーランドの貝塚と並び,質・量ともに誇れるものである。主として丘陵上に立地する500を超える貝塚は,今から1万年前から2千年前までの縄文時代に築かれたものである。
精力的な発掘が続けられ,貝塚に関する資料は増加したが,全体を見渡す分析は皆無であり,項目別の集計さえなされていない現状である。そこで,国内でも最も密度濃く分布する千葉県を選び,貝塚遺跡のデータベースを作成し,その中から考古学研究上問題となるテーマを新しい角度から検討してみようと計画した。
研究当初は,ひとつひとつの発掘報告書にあたり,各項目別のデータを作成していたのだが,後に,考古学者自身がチームに分かれ,千葉県内の550貝塚の表面調査を行った調査書が手に入ったので,それをもとにデータベースを作成することにした。数ケ月を要してデータベースが昨年完成し,現在は単純集計をしている段階である。
単純集計が済めば,次に時期別のモデル(約2〜3)を作り,またその後で立地別(例えば海浜型・丘陵上型等)のモデルを作りたいと考えている。主成分分析等を利用し,なるべく単純なモデルを作成し,国内の他の地域(特に仙台線沿岸)の貝塚と比較したり,あるいはカリフォルニア型とかニュージーランド型の貝塚と比較ができればと希望している。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

「史館」(弘文社)
単純集計ができた時点で,考古学雑誌の「史館」に論文を投稿予定。
「統計数理」
時期別・立利別のモデルができあがり,それらに意義が認められれば,「統計数理」に論文を投稿予定。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

縄紋集落の領域問題は,貝塚の型式分類から進める必要を痛感し,データベースの作製を進めてきた。従来の考古学者による大型と小型貝塚の分類を,もう少し客観的な基準でもって分類できないだろうか,という目的でロータス123を利用し,約550の貝塚の情報をインプットしている段階である。
現在までに入力を終えた項目は,遺跡名,住所,立地,現況,貝,土器型式,であり,これから入力するものは遺物である。
入力が完了したら,アスキーにおとし,大型計算機を利用できるように予定している。まず,本当に大型と小型貝塚の客観的な分析が可能かどうか。もし不可ならば,あらかじめ今までのデータを基に大型と小型貝塚に区別しておき,それぞれのモデルを作り,ふたつのモデル間に相違があるかどうかを調べる。また,幸いにも土器型式か相対年代が確立されているので,時期別によるモデルの作製,地理・地形的な差をもとにしてモデルを作り,それらの相違を比較したい。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

植木 武

共立女子短期大学