平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−97

専門分類

8

研究課題名

乳児をもつ母親の育児満足感の規定因に関する研究

フリガナ

代表者氏名

マエダ タダヒコ

前田 忠彦

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

育児満足感は,母親の養育意識を構成する重要な一側面である。本研究は4ケ月から10ケ月の乳児をもつ母親とその夫に対する調査データから,母親の育児満足感を規定する要因に関する分析を行う。それと同時に,4ケ月時点と10ケ月時点における2波のパネルデータの有効な分析方法について検討する。また,調査の継続に備えた質問項目の再検討を行う。


4ヶ月児と10ヶ月児を育児中の母親とその夫に対する調査データ(横断的データ及び2波のパネルデータ)に基づき,以下の3つの側面について研究を進めた.
1. 多特性-多方法行列型のデータの適切な分析モデルに関する研究
多特性-多方法行列は,t個の特性を m個の方法で測定した結果得られる mt × mt のサイズの共分散(相関)行列であるが,このタイプのデータに対し適切な分析方法は確立されていない.本研究での m個の方法とは,評定者(妻と夫)あるいは2波のパネルデータにおける測定時点であり,本研究では m=2という不利な条件下で,前田(1995)で提案した確認的因子分析的方法論の応用に基づき,モデルを識別させるための制約の置き方を中心に検討を進めた.上記調査データで得られるいくつかの形式の多特性−多方法行列に対し,妥当な解釈を与え得る解を得た.
2. 「母親の育児満足感」の規定因に関する因果モデルの構成
母親(妻)に対する2波のパネルデータを用いて,母親の自尊心と育児満足感を内生的変数とする構造方程式モデルによって,自尊心と育児満足感の間の関係を検討した.
3. 夫の仕事志向,家庭志向が妻の育児満足感に及ぼす影響の検討(大薮・前田(1996))
夫の仕事や家庭に対する考え方と妻の育児満足感との関係について検討し,乳児が4ヵ月の時点と10ヵ月の時点で夫婦の回答の様相が異なる可能性が示唆された.


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

投稿準備中

・前田 忠彦 (1995). 「確認的因子分析に基づく分散成分の推定」日本行動計量学会第23回大会(1995年9月)発表論文抄録集, 130-133.
・大薮 泰・前田 忠彦 (1996). 「乳児をもつ母親の養育意識に影響する要因の分析 分析 (4)」 日本発達心理学会第7回大会(1996年3月)発表論文集, 31.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

<研究内容>4ケ月児と10ケ月児を育児中の母親とその夫に対する調査データの分析を行う。データは,4ケ月児,10ヶ月児の両親に関する横断的データ,および4ヶ月児の母親を10ケ月時点で再調査した,縦断的データ(パネルデータ)の2種類とする。これらのデータに基づき,育児満足感を規定する要因の特定を行うとともに,パネルデータの有効な分析方法について検討を行う。更に,母親の育児満足感と自己評価感の間の関係を,因果モデルの枠組みで分析する。また,既に行われた調査の調査項目の再検討を行い,将来の継続調査に備える。
<共同研究の必用性>発達心理学の専門家として,調査主体となった大薮と,調査法及び調査データ解析の専門家である統計数理研究所の三名が,緊密な連絡を保ちつつ分析研究を進めることが必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大薮 泰

早稲田大学

坂元 慶行

統計数理研究所

中村 隆

統計数理研究所