平成252013)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

25−共研−1040

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

都市度尺度としての人口ポテンシャルの再検討

フリガナ

代表者氏名

アカエダ ナオキ

赤枝 尚樹

ローマ字

Akaeda Naoki

所属機関

関西大学

所属部局

社会学部

職  名

助教

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、平成の大合併によって、都市的な地域とそうでない地域が混在している自治体や、面積が広いために人口は多いが都市的ではない地域が大部分を占める自治体なども増えていると考えられる。そのことにより、従来の都市度尺度である自治体人口が、都市度を適切に表現できなくなってきたのではないかとの指摘がなされている。そこで本研究課題では、有効性を失いつつある従来の都市度尺度に代わる、新しい都市度尺度の検討をおこなうことを目的とする。
そうした目的を遂行するにあたり、本研究課題は、統計数理研究所が管理する調査データである、「2010年 格差と社会意識についての全国調査」(以下SSP-I2010調査)の共同利用によって進められた。SSP-I2010調査は統計数理研究所が大阪大学大学院人間科学研究科との協力によって2010年に実施したものである。この調査は有効回収数が1763の中規模の全国調査であり、大きく二つの特徴をもつ。第一に、多段無作為抽出法が用いられ、250の地点が抽出されている点である。そして第二に、現代日本における不平等や格差に関する人々の意識をはじめとして、幅広い意識・行動に関する項目が含まれたものであるという点である。こうした特徴は、地点特性が人々に与える影響を幅広く検討するにあたり、SSP-I2010調査データが有益なものあることを示している。
そこで本研究課題では、第一に、自治体よりも小さな単位であるメッシュ統計や小地域統計を用いた、新しい都市度尺度としての人口ポテンシャルを構成すること、第二に、そうして構成した新しい都市度尺度の有効性について、個票データと結び付けた検討をおこなうこと、という2点を課題とした。とくに後者の検討は、SSP-I2010の抽出地点の詳細な情報を活用することにより、はじめて可能となるものである。そこで、分担者の前田忠彦が層化二段無作為抽出による250地点分の詳細な地点情報の整備を行い、代表者の赤枝尚樹がSSP-I2010の250の抽出地点において人口ポテンシャルを算出し、本体調査データとのマージと主要な調査変数との相関分析を進めた。その検討の成果は既に論文のかたちで公表されている。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

本研究課題においては、市町村合併によって従来の都市度尺度として用いられてきた自治体人口がその有効性を失いつつある現状を踏まえ、新しい都市度尺度とその有効性の検討を試みる。そして、従来の自治体人口に代わる都市度尺度として人口ポテンシャルを提示し、SSP-I2010データによって、自治体人口と人口ポテンシャルが人々の意識・行動に与える影響を比較することにより、その有効性を比較した。そうした検討の成果は、以下の論文として公表されている。
【論文】
赤枝尚樹・前田忠彦 (2014) 「都市度尺度としての人口ポテンシャルの再検討」 『関西大学社会学部紀要』第45巻2号, 249-265.

上記の論文では、人口ポテンシャルを各町丁・字ごとに算出して検討をおこなった。こうした検討は、統計数理研究所が管理する調査データであるSSP-I2010調査の共同利用によって、詳細な地点情報を活用することによりはじめて可能となったものといえる。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究会は開催していない。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

前田 忠彦

統計数理研究所