平成クオ1989)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

クオ−共研−62

専門分類

7

研究課題名

成人病誘発要因としての肥満の疫学的研究

フリガナ

代表者氏名

トヨカワ ヒロユキ

豊川 裕之

ローマ字

所属機関

東邦大学

所属部局

医学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

過去10年来,死因の上位を占めている成人病はその発生機作が複雑で,原因とみなされるものも様々であります。肥満もその一つであることは,疑う余地もありません。
本研究は,この様な前提に立って成人病の肥満要因を明確にし,そのリスクについて検討を試みることを目的としている。


日本人の死因の6割以上を占める成人病の発症は,増加の一途をたどっている。しかしながら,従来までの感染症を始めとする疾患と異なり,特定病因論が成り立たず,発症要因についても多種多様である。さらにその発生機作も極めて複雑である。本研究はそうした成人病の発症要因の一つとして肥満を取り上げ,皮下脂肪厚と血清脂質との関連について検討した。
対象として用いた客体は,長野県上伊那郡長谷村住民,都内練馬区商工会会員,千葉県柏市商工会会員である。なお,長野県長谷村は人口2,500,農林業を主たる産業とする農山村である。各調査は,成人病検診の一環として行なわれ,皮下脂肪厚はAモード式超音波皮脂厚計を用い,身体の8部位(上腕前部・後部,肩甲骨下角部,腸骨稜上部,臍上部・横部・下部,大腿前部)を測定した。
血清脂質として,総コレステロール,中性脂肪,HDLコレステロールを用い,秦の分類に従って,正常,軽度,中等度,重度の4群に分類した。
結果として,以下のことを得た。
1)皮下脂肪厚の地域間での比較を試みたところ,大腿前部を除く全ての部位で,長野県長谷村が都内練馬区,千葉県柏市に比べて有意に薄かった。また,年令を調整した場合にも同様な結果が示され,皮下脂肪厚の地域要因が認められた。
2)血清脂質(総コレステロール,中性脂肪,HDLコレステロール)の全てについて,重症度に従って,皮下脂肪厚が厚くなることが示され,血清脂質に対する肥満の影響が明らかになった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

肥満の指標として,Aモード式超音波皮脂厚計を用いて測定した身体各部の皮下脂肪厚値を用いる。
調査対象としては,首都圏に居住または,勤務する中高年者を用いる。
測定は,集団検診に組み込み検診時に行う。
他の,個人的な臨床データや生活習慣データ等との関連を検討する。
統計的処理に関しては,変量が多数であり,この関係は複雑である。
疾患の肥満要因を明らかにするためには,交絡要因の影響を排除する,高度の分析手法が必要とされる。それ故,本研究では,統計数理研究所スタッフの協力なくしては不可能である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

城川 美佳

東邦大学

駒澤 勉

統計数理研究所

高柳 満喜子

東邦大学

西川 浩昭

筑波大学