昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−77

専門分類

7

研究課題名

医学分野における多変量時系列データの統計解析モデルの開発研究

フリガナ

代表者氏名

イノウエ ミチトシ

井上 通敏

ローマ字

所属機関

大阪大学

所属部局

医学部附属病院

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

医学・医療分野における計測技術の進歩により,従来収集することが困難であった時間分解能が高い時系列データが得られるようになり,薬効評価判定など治療評価に使用され始めている。そこで本研究では医学データの特質を考慮した多変量時系列計測値を統計解析する手法を確立し,解析用コンピュータプログラムを開発する。


医学・医療分野における計測技術の進歩により,従来収集することが困難であった時間分解能が高い時系列データが得られるようになり,薬効評価判定など臨床評価に使用され始めている。そこで本研究では医学データの特質を考慮した時系列計測値を統計解析する手法を確立し,解析用コンピュータプログラムを開発した。
研究の実施:多変量時系列データ統計解析モデルの確立
1.正規分析フィッテイングとLorentzブロット
統計解析モデル作成のために,24時間心電図(ホルダー心電図)より得られるR−R間隔を標本として解析を行った。n−1番目,n番目のR−R間隔を各々x,y軸に表示する「Lorentzブロット」作成プログラムを開発した。これにより,整脈と不整脈の分離が容易となった。分離された整脈24時間度数分布が多重正規分布をとるので,正規分布フィッテイング・プログラムを開発した。
本モデルを抗不整脈剤の薬効評価に応用し,有用なモデルとなり得ることが明らかとなった[1]。また正規分布フィッティングは,入院医療費の分析にも応用可能であった[2]。
2.パワースペクトラム法による時系列データの解析
心電図R−R間隔時系列データをフーリエ変換し,パワースペクトラムを得て2つの周波数成分に分離するプログラムを開発した。これを心不全患者の自律神経機能評価に応用し有用な結果を得た[3]。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[1]青木,谷,武田,井上ら:R−R間隔ヒストグラムの正規分布fittingによる薬効解析,第8回医療情報学連合大会論文集,523−524,1988
[2]武田,青木,紀伊國:大学病院における医療の構造的研究;入院レセプトの分析,第8回医療情報学連合大会論文集,33−34,1988
[3]谷,青木,武田,井上,楠岡ら:パワースペクトラム法による心拍変動の神経調節の解析,第8回医療情報学連合大会論文集,525−526666,1988


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.多変量時系列データ統計解析モデルの確立:
統計解析モデル作成のために,24時間心電図(ホルター心電図)より得られる不整脈発生頻度,抗不整脈剤血中濃度,自覚症状など多変量時系列データによる薬効評価を解析例として,統計解析上の基礎的検討を行う。この段階で特に統計数理研究所の研究分担が必要である。
2.多変量時系列データ解析用コンピュータプログラムの開発:
医学・生物学分野で共同に使用できるプログラム・パッケージを作成する。開発にあたっては,欠落データの取り扱い,計測値の生理的変動など医学・生物学データの特質を考慮する。実用化のためには統計数理研究所の既存のプログラムとの整合を行う。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

楠岡 英雄

大阪大学

駒澤 勉

統計数理研究所

武田 裕

大阪大学