平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−8

専門分類

1

研究課題名

多変量統計解析における数値的計算法の研究

フリガナ

代表者氏名

コニシ サダノリ

小西 貞則

ローマ字

所属機関

九州大学

所属部局

大学院数理学研究科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

11 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

多変量統計解析における種々の分析手法に関連して,起因する統計的推測,統計的モデルの構築等を,観測データに基づいて有効に行うための手法開発を目的として研究を行う。本研究では,コンピュータの利用を前提とした数値的計算法の研究を併せて行い,可能な限り緩やかな仮定のもとで,より複雑な問題に対して適用できる手法開発をめざす。


多変量データの分析をより有効に行うため、統計的数値計算法に基礎を置く手法開発を目的として研究を行った。本年度は、特にブートストラップ法の判別分析における誤判別率推定への応用について継続研究を行い、以下のような知見を得た。
1.判別分析に於ける誤判別率すなわち予測の誤差推定へのブートストラップ法の応用は、いわゆる見かけ上の誤判別率に対するバイアス補正という観点から研究が進められてきた。本研究では、特定の判別関数、判別手法には限定せず、誤判別率の一つの推定法である見かけ上の誤判別率の理論的意味付けと、そのブートストラップバイアス補正法の考え方を体系的に整理した。
2.予測誤差推定法を統計的数値計算法の枠組の中で捉え、ブートストラップ法に基づく数値的アプローチと正規理論の基づく解析的アプローチとの相違点を示し、数値的計算法の有効性について考察した。
3.医学に於ける鑑別診断の可能性を検討するため、三種類のデータを分析した結果を報告した。判別関数としては、線形および二次判別関数を用い、予測誤差推定法としては、見かけ上の誤判別率とそのブートストラップ補正法、交差検証法を適用した。線形判別関数に対しては、以上に加えて、多変量正規性の仮定のもとで導かれた漸近展開式を併せて検討し、見かけ上の誤判別率のブートストラップバイアス補正の必要性、交差検証法の過大推定の傾向性など、各種の推定法の性質を明らかにした。
さらに、予測誤差推定値に基づく、線形判別関数と二次判別関数の選択の可能性を示唆し、データの特性を考慮にいれた体系的な考察を今後の研究課題とした。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Konishi,S., Normalizing transformations and bootstrap confidence intervals, Annals of Statistics, Vol.19, No.4,1991.

小西貞則、本多正幸、判別分析における統計的リサンプリング法、科研費シンポジウム、1991年11月.
Honda,M. and Konishi,S., The effect of shrinkage estimator on the linear discriminant function, The 3rd Pacific Area Statistical Conference,1991年11月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

上記研究目的にそって,種々の問題解決と新しい統計手法の開発をめざして,次の研究を実施する。(i)主成分分析,因子分析,正準相関分析などにおける統計的推測の理論,推定量の統計的誤差評価等の研究,(ii)経時測定データの統計的モデルの構築と分析法の研究,(iii)ブートストラップ,ジャックナイフ,交差検証法などの手法の理論的,実験的側面の研究と新たな数値的計算法の検討,(iv)数値的計算法の研究上必要とされる乱数,モンテカルロ法,数式処理システムに関する研究,(v)質的データの分析法の研究。以上の研究を実施するに当たっては,関連する分野の研究者との研究協力が必要で,相互に討論しアイデアを交換し研究を推進する,共同研究として実施する必要がある。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

鎌倉 稔成

中央大学

工藤 昭夫

東海大学

塩谷 實

明星大学

清水 邦夫

東京理科大学

中村 忠

島根大学

仁木 直人

東京理科大学

西井 龍映

広島大学

早川 毅

一橋大学

本多 正幸

千葉大学

渡辺 美智子

東洋大学