平成222010)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

22−共研−1012

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

3

研究課題名

データベースを用いた医薬品のリスク解析

フリガナ

代表者氏名

フジタ トシハル

藤田 利治

ローマ字

Toshiharu FUJITA

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【目的】
欧米では、公的医療保障(Medicaid)、健康保険組織(HMO)などを基礎とした地域や病院の医療データのデータベースが数多く構築され、薬剤のベネフィット・リスクのバランスを最適化するために活用されている。一方、日本には、公開されている医薬品の安全性データベースが存在しないために、副作用の仮説生成、仮説強化、仮説検証といったリスク評価を効率的に実施することが難しく、欧米諸国と比べて医薬品の実証的リスク評価が極めて遅れた状況にある。本研究では、リスク解析戦略研究センターで構築を行っている市販後の使用成績調査のデータベースなどを使用して、医薬品領域における定量的リスク科学の実際的な検討を行う。
【経過】
市販後医薬品の使用成績調査データベースの活用を進めるとともに、市販前の臨床試験データベースの構築を推進した。前者については、降圧薬の使用成績調査データベースを用いた薬剤疫学的な論文発表を2件行った。ACE阻害薬による治療下での血中カリウム上昇に関連する要因の検討と、高血圧の合併症の一つに睡眠障害があるが、降圧薬治療下での睡眠障害発症のリスク要因の探索的検討を行った。後者のデータベースの構築については、期外収縮治療薬のデータベースを構築し、これまでに開発が完了している降圧薬と高脂血症治療薬のデータベースと併せてホームページで公開した。
また,すでに構築した降圧薬の市販前の臨床試験データベースから着想した研究から学会発表を行った。同一の試験薬に対して、単独もしくは併用使用に関する臨床試験が各々行われることがある。各試験への登録に影響を与えうる共変量を傾向スコアにより調整を行うことで、治療法と薬剤に関する統計的交互作用を評価する方法についての研究である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

論文発表
? 細田眞理、藤田利治、橋口正行、藤井陽介、望月眞弓.ACE阻害薬使用による高カリウム血症・血中カリウム上昇の関連要因の検討.薬剤疫学 15: 49-59,2010
? 田邉直人、藤田利治、藤井陽介、折井孝男.使用成績調査データベースを利用した高血圧患者における不眠症発症要因に関する検討.薬学雑誌,2011(印刷中)
学会発表
? Yosuke Fujii, Masayuki Henmi, Toshiharu Fujita.Evaluating the therapy-treatment interaction in clinical trials of antihypertensive drugs by the propensity score weighting method.Royal Statistical Society 2010 International Conference;2010年9月;ブライトン,英国

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

折井 孝男

NTT東日本関東病院

田邉 直人

NTT東日本関東病院

望月 眞弓

慶應義塾大学