平成142002)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

14−共研−2061

専門分類

8

研究課題名

心理・社会領域における自由回答と選択肢設問の統計解析

フリガナ

代表者氏名

ドイ キヨハル

土井 聖陽

ローマ字

DOI KIYOHARU

所属機関

大阪樟蔭女子大学

所属部局

短期大学部 人間関係科

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

社会心理学と社会調査分野の文章型データに対して、構文解析を用いないでパターン解析を基盤に
した解析法を適用した研究を継続してきた。心理学分野では、単語の表面的な意味や文章の文意よ
りも、その背景にある潜在的な意識や動機づけ等が重要になる場合が少なくない。また社会調査の
分野でも、回答者による単語や固有の文章の意味解釈だけでなく、調査対象の中に共通した意識構
造とその意識構造を有する回答者群を見つけ出すことが重要になる。
 今年度までの研究で、社会的動機づけに関する投影法とストレス・疲労感に関する自由回答から
得られた文章型データを分析の対象とした。そして、投影法文章データから達成動機と成功不安の
基盤概念でありながら規範コードになかった性差意識が抽出された。さらに、語の意味解釈を語の
クラスターに基盤を置くという新しい語用論的解釈法、そして語のクラスターからの抽出概念と分
析で得たサンプルクラスター(類型)との対応関係も明らかになりつつある。ストレス・疲労感に
関する男子大学生を対象とした文章型データから、疲労感、フラストレーション、攻撃性に関する
語が抽出された。同時に、自由回答における「だるい」、「ねむい」という語の使用の有無と、質問
項目の「全身がだるい」と「ねむい」の有無に関するχ自乗値が有意ではないという結果が明らか
にされた。すなわち、自由回答において自らの疲労感を「だるい」、「ねむい」という語で表現しな
がら、質問項目の「全身がだるい」と「ねむい」の有無に対して無いと反応したサンプルの疲労感
を如何に考えるかである。しかし、自由回答と質問項目尺度が異なる時点に調査されているという
問題点があった。そのため今年度は、自由回答と項目尺度を同時に実施するとともに、女子学生も
対象にした。その結果、疲労感、フラストレーション、攻撃性に関する語と燃え尽き感に関する語
が抽出され、疲労感に関してほぼ同様の不整合な関係が明らかにされた。しかし、自由回答で得ら
れた燃え尽き感に関する語の使用の有無とバーンアウトスケールの同じ表現の項目尺度に対する
反応データとは整合的であった。これら回答者の疲労感は、疲労を主に状態的に考える産業衛生分野
の説明では理解が困難であり、日常生活が困難な病状として捉える医学分野の慢性疲労とも異な
り、看護学分野の燃え尽き症候群の疲労感と関連が窺える。しかしながらサンプルの男女大学生が
燃え尽きるような経験をしているとは考えにくく、今後の課題になった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

土井聖陽 男女大学生サンプルのストレス・疲労関連語 日本分類学会第19回研究報告会 2003年3

土井聖陽 男女大学生下位群におけるストレス・疲労関連語と項目反応 日本心理学会第67回大会
2003年9月(発表予定)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大隅 昇

統計数理研究所

木下 冨雄

甲子園大学

直井 優

大阪大学

福井 誠

甲子園大学

吉村 宰

岡山大学