平成21990)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

2−共研−40

専門分類

5

研究課題名

平面分割・球面分割の統計および流体力学への応用

フリガナ

代表者氏名

タカギ リュウジ

高木 隆司

ローマ字

所属機関

東京農工大学

所属部局

一般教育部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

平面分割の統計的性質,および調整モデルによるその動力学の研究結果を,流体力学における重要な問題であるベナール対流の細胞構造の解析へ応用する。
球面の分割に関する統計的な性質を,適切なモデルによる数値実験によって調べ,球形液滴の振動モード等,流体力学の関連する問題へ応用する。


本研究の目的は,球面上の分割の性質に関する統計学的な研究,およびその液滴振動モード解析への応用である。
球面上の分割は,球面の充填,および最大最小問題として考察することができる。規則配置については,Fejes Toth(1972)によって論じられているが,ここでは不規則配置を問題にする。球面上を,一定の半径を持つ球帽でランダム逐次充填し,ボロノイ分割を計算機実験で求め,平面分割の場合と比較した。さらに,任意の点配置から出発し,徐々に点配置を調節することにより,ランダム充填よりも規則性の高い配置を生成するモデルを考案し,シミュレーションを行った。その結果,任意の個数に対し,ある最適点配置パターンを生成することが分かった。この配置は,球形液滴の振動と関連している。
有機溶媒の液滴を水中で浮遊させ,適当な振動数の刺激を与えていると,基準振動が起きる。振動数を増加させていくと,表面の凹凸の数が増えていくことが観察された。
球面上で刺激する点が1箇所の場合は,変形の形は常に軸対称であった。この瞬間的な形は,球面調和関数でほぼ正確に記述できることがわかった。球面上の2箇所を適当に選び,同じ振動数で刺激すると,正多角形の対称性をもつモードが観察された。液滴凹凸は,球面の分割と見なすことができる。振動数をこれらの振動数以外に選んだとき,正多角形以外の対称性の低い分割が現れ,これが上記の調節モデルで求めた最適配置に一致すると期待される。ただし,正多角形以外の基準振動は,観測によって形状を決定するのが容易ではないので,今後この点を改良した実験を計画している。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

種村正美:球面上のランダム配置について
統計数理研究所セミナー 1991年1月17日〜18日
高木隆司:球形液滴の多面体振動II
1991年3月25日


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

東京農工大学で,ベナール対流,および球形液滴の実験を行っている。この実験で得られた写真を,統計数理研究所で解析し,統計的な性質を抽出する。ベナール対流については,その細胞構造の時間変化を観察し,調整モデルによる分割パターン変化の計算結果と比較する。液滴振動については,変形した液滴の凸部と凹部に着目すると,それらは球面の分割を与える。液滴変形の観察結果と,球面分割の数値シミュレーションや理論の結果と比較する。
以上,説明したように,流体力学のこれらの現象は,幾何統計学と非常に関係が深い。したがって,統計数理研究所との共同研究により,新らたな知見が生れることが期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐野 理

東京農工大学

種村 正美

統計数理研究所