平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−90

専門分類

7

研究課題名

Quality of Life と健康の尺度化に関する研究

フリガナ

代表者氏名

コマザワ ツトム

駒澤 勉

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

名誉教授

職  名

名誉教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、健康科学においてQuality of Life(QOL)が叫ばれているが、総合的見地からQOLを取り込んだ関連疾患の進展・防止の指導は少ない。
そこで、我々ヒトの健康にかかわるQOLに根ざした健康の深度化表現を質的データ解析の展開と実データにより総合的健康の尺度化に関する研究を行う。


健康科学においてQuality of Life(QOL)が叫ばれているが、総合的見地からQOLを取り込んだ関連疾患の進展・防止の指導は少ない。そこで、長谷川グループ(東邦大医学部・他)と我々はヒトの健康にかかわるQOLに根ざした健康の尺度化表現を数量化第3類・主成分分析の「外的基準のない分析法」を中心に、尺度の試作、実践的に総合的健康診断に適用し、実証的研究を行った。
1.ヒトの生体機能の若さ度の評価 ヒトは加齢とともにおおよそ40歳台以降、各臓器や器官の機能的働きが衰えてゆく、その程度は年齢より若いヒトから、衰えているヒトまでさまざまである。このようにヒトの生体機能がどの程度の老化をきたしているか、検診データを利用して評価尺度を試作した。
2.ヒトの生活健康度に関するQOLの評価 ヒトの生活健康度に関する尺度化は不定愁訴、ストレス蓄積度、食生活、健康づくりの運動等の調査データから試作した。
若さ度の評価は生体の動的機能、臓器機能、静的機能、代謝機能の4機能と総合評価を5段階(若い、年齢相当、軽度障害、中等度障害、高度障害)に尺度化した。
なお、・動的機能は、肺機能、握力、心胸比、負荷血圧、肥満度、心機能の検査データで構成した。
・臓器機能は、腹大動脈石灰化、脊椎症、大動脈硬化度、白内障混濁度、コレステロールなど臓器や器官の質的変化の検査データで構成した。
・静的機能は、平衡機能、自立神経機能、安静時心電図、聴力などの負荷のない安静時の検査データである。
・代謝機能は、骨粗鬆症、赤沈、尿素窒素、血清アルブミンなどの栄養素、ミネラルなど体内の物質の正常に代謝する働きの検査データで構成した。
・不定愁訴は、自覚症状としての不定愁訴27項目の調査データで構成した。
・ストレスは、休養、疲労など12項目の調査データで構成した。
・食生活は、食べ方、欠食、偏食、乳製品、昼食の単品物、大豆製品、魚・肉・野菜の料理の摂り方など18項目の調査データで構成した。
以上、今回は数量化第3類および主成分分析の多次元空間上での一次元尺度化、すなわち順序尺度化の手法を健康診断反応の実践的研究に活用した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

駒澤 勉:多変量解析の最近の動向−特に潜在変数モデルを中心に−、(7)順序尺度の探索的数量化の方法〔数理科学 No.359〕1993.5

駒澤 勉他:疫学的対照群14年間('71〜'91)における血圧推移の統計学的考察(2)〔日本老年医学会総会〕1993.9

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

質的データ解析の展開として多次元空間上での一次元尺度化可能な質的データとの関係を調べ、探索的順序尺度化のデータ解析法を確立する。
実データはQOLを調べるのに関連の深いヒトの生活健康度に関する不定愁訴、ストレス蓄積度、食生活、健康づくりとしての運動等を日本労働文化協会・動脈硬化疫学研究所が循環器系集団検診時に得た約4,000例を用いる。
また、ヒトの生体機能がどの程度の老化をきたしているか、若さ度を維持しているかの評価のための臨床検査データも同時に用いる。これらによりQOLと健康の尺度化に関する応用研究を行う。
本研究を実施するに当たっては、医学専門研究機関との共同研究が不可欠である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

鈴木 賢二

(財)日本労働文化協会

高田 浩江

(財)日本労働文化協会

長谷川 元治

東邦大学

森 誠

(財)日本労働文化協会

山口 百子

国立健康栄養研究所