平成272015)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

27−共研−2039

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

7

研究課題名

測定方法の違いを考慮した来場者調査における展示観覧行動の計量分析

フリガナ

代表者氏名

マエダ タダヒコ

前田 忠彦

ローマ字

Maeda Tadahiko

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

准教授

配分経費

研究費

40千円

旅 費

23千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 本研究の目的は、公的科学研究機関が開催する一般公開日(オープンハウス)を利用した来場者調査を用いて、(1)複数の測定方法を併用することにより展示観覧行動分析における方法論上の検討を行い、(2)来場者の展示観覧行動に関する予測の精度を高めることにある。
 本研究で用いるデータは、自然科学研究機構・分子科学研究所が開催した一般公開日(オープンハウス)において実施した2回の来場者調査(アンケート)をもとにしている。第一回目は2009年度のデータで、来場者全員の1,350名を対象とし、785名から回答が得られた(回収率58.1%)。第二回目の2012年度のデータは、来場者全員の1,126名を対象とし、566名から回答が得られた(回収率50.3%)。第二回目の調査は、統計数理研究所と分子科学研究所の共同研究として行っている。
2回のオープンハウス当日における来場者の展示観覧行動を被説明変数として設定し、展示見学時間と展示見学数の2つの変数で測定した。この2つの変数について、質問紙調査(アンケート)において異なる複数の質問項目で測定するとともに、2012年度については磁気カードを用いた電子的記録方法で測定した。さらに2012年度の調査では、『日本人の国民性調査』から科学・技術、文学・芸術、および経済に関する回答者の意識を問う質問項目を選定し、本調査でも用いた。
 本研究ではこれらのデータと,新たに2015年度中に実施予定の二種類の展示イベントでの来場者調査(うちの片方は継続で3回目の実施)のデータを加えた計量分析を行うこととが研究の中心となる。
 平成28年度には,共同研究者(加藤)と計5回,のべ12日ほどの打ち合わせ機会を持ち,主に2009年度,2012年度の2回分来場者アンケートのデータを下記のような観点で分析しし,投稿論文を仕上げた。
(1)[来場者の特異性] 来場者は,一般市民母集団と比べてどのような特徴をもった集団と位置づけられるか:分析は,来場者アンケートの結果と,日本人の国民性調査など一般市民を母集団とする調査を比較する。
 アンケートの回答者は実は来場者の中でも,比較的熱心に観覧行動を行った集団であることは,2012年データで,観覧時間の長さを非回答者と比較することを通じて推察することができた。
(2)[来場者の多様性] 来場者(アンケート回答者)の中でも観覧行動は違っており,それに寄与する心理的・社会属性的要因の解明:分析手段は,展示観覧数や展示観覧時間の長さを被説明変数とする回帰分析等。
 上記の内容の論文を2016年3月末に英文雑誌に投稿し,審査中となっている。

 

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 本年度の学会発表はなく,成果(経過)の項に述べたように,1本の英文論文を投稿済み,2016年4月現在審査中である。
 なお,過去の関連する学会発表等として,下記のものがある:

[既発表成果:学会発表] 
加藤直子、前田忠彦(2013)「科学コミュニケーション活動を通した研究所来場者の展示見学行動分析」、『第41回日本行動計量学会大会』於東邦大学、2013年9月5日.

加藤直子、前田忠彦(2014)「科学研究所来場者の展示見学行動と文化資本の関連に関する行動計量学的研究」、『第42回日本行動計量学会大会』於東北大学、2014年9月5日.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 研究打ち合わせのみで,公開の研究会等は特に行っていない。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

加藤 直子

茨城大学