平成71995)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

7−共研−68

専門分類

7

研究課題名

魚類の系統分類

フリガナ

代表者氏名

ハセガワ マサミ

長谷川 政美

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

予測制御研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

魚類のなかで陸上脊椎動物(四足動物)に最も近縁なものはどれかを明らかにするために、前年度に引き続き核、およびミトコンドリアにコードされている各種蛋白質のアミノ酸配列データに基づく検討を行なう。また、魚類の進化速度が鳥類や哺乳類のそれに比べて遅いとの可能性についても引き続き検討する。


東アフリカのマラウィ湖とタンガニーカ湖には多様なカワスズメ科の魚が生息しているが、この2つの湖にはお互いに形態的によく似たペアがたくさん見られる。従ってよく似たペアは、系統的にも近縁な関係にあるだろうと考えられていた。ところが、これまでの分子系統学的な解析の結果、マラウィ湖の多種多様なカワスズメ科の魚は、単系統のグループをなしているらしいことが明らかとなってきた。
我々は、ミトコンドリアDNAにコードされているNADH脱水素酵素サブユニット2遺伝子のデータを用いて、最尤法により、マラウィ湖とタンガニーカ湖のカワスズメ科の魚の系統関係を検討した。その結果、マラウィ湖のカワスズメ科の魚5種は、形態的には多様に分化したものであるにもかかわらず、系統樹上では確かに1つのグループを形成することが明らかとなった。すなわち、この2つの湖の間の多くの種で見られる形態的な類似性は収斂進化の結果であると考えられた。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

前年度に引き続き、総鰭類と肺魚類のミトコンドリアDNAにコードされている各種蛋白質のアミノ酸配列データを得るために遺伝子解析を実施する。得られたデータをもとに、総鰭類と肺魚類のどちらが陸上脊椎動物に近縁であるかをさまざまな置換確率モデルに基づく最尤法により総合的に評価する。一方、魚類の進化速度に関しては、核にコードされている蛋白質のアミノ酸配列データで既報のものの収集に努め、陸上脊椎動物の進化速度との比較を行なう。また、核とミトコンドリアとの相違点についても検討する。分子系統樹の最尤推定に関する大規模計算を行なうため、統計数理研究所での共同研究が必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

岡田 典弘

東京工業大学

岸野 洋久

東京大学

小島 茂明

東京大学