平成232011)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

23−共研−21

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

5

研究課題名

回転円すいの外表面を上昇する液膜流れの数値シミュレーション

フリガナ

代表者氏名

アライ アキヒロ

新井 晶大

ローマ字

arai akihiro

所属機関

秋田大学大学院工学資源学研究科機械工学専攻

所属部局

足立研究室

職  名

大学院生 修士課程

 

 

研究目的と成果の概要

液体微粒化過程では,ファン,コンプレッサーおよびポンプなどを用いて液体に高圧をかけ,ノズルから噴出させることで液を微粒化させる方法がよく用いられている.しかし,複数の機械で構成されるため装置が大きくなることや噴霧特性(液滴の径や噴霧流の流量など)の制御が難しいなどの問題点が存在する.そのため,コンパクトで消費電力が少なく手軽に噴霧特性を調節できる新しい噴霧流の生成機構が求められている.


本研究では,噴霧流の生成機構として回転円すい体を利用した方式を取り上げる.すなわち,円すい体の頂角を下にして水に浸し回転させることで,円すい体の外表面を液が上昇し,液膜を形成し微粒化する現象を利用するものである.このような回転円すいコマの外表面を水が上昇し,液膜流れが形成される現象については不明な点が多く,いまだ詳細なメカニズムは明らかにされていない.本研究では,CLSVOF(Coupled Level Set and Volume of Fluid)法を用い,円すいコマの回転速度と形成される液膜厚さ等に着目することでコマ外表面の液が上昇するメカニズムを数値計算により明らかにする.


本研究では,有限差分法を基にHSMAC(Highly Simplified Marker and Cell Method)法とVOF(Volume of Fluid Method)法およびCLSVOF(Coupled Level Set and Volume of Fluid Method)とを用いた数値解析プログラムを作成し計算を行なった.本研究で用いる計算プログラムでは,気相と液相が共存する気液二相流れを取り扱うことになる.このような問題では気液界面が計算の進行につれて変化する移動境界値問題となっている。プログラム中では,この界面での位置決定や境界条件の設定(界面の境界条件を設定する際,表面張力の影響を取り入れるために,界面形状の曲率を求める必要がある)等で複雑な条件分岐を行っておりプログラムが複雑で計算時間が長くなり予定していた通りに研究を進めることが困難であった.