昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−22

専門分類

3

研究課題名

女性服装色の変遷

フリガナ

代表者氏名

タカクラ セツコ

高倉 節子

ローマ字

所属機関

東京国際大学

所属部局

人間社会学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

東京(銀座)の街路を通行する女性の服色に関し,1953年以来,四季各季に観測してきたデータについて,時系列分析をおこなう女性の服色の推移の傾向性,その構造的特性を把握し,流行の法則性を追求するとともに,女性風俗の変化,及びこれを社会の様相の変遷との関連をも探究することを目的としている。


1954年から’85年まで,32年間の女性服装色のデータ(各年,各季の1〜2日,銀座通りの或地点を通行する女性の中から無作為に抽出した人の服色を記述(マンセル記号による)したもの)について,単一色のものをとりあげ,これを色相に関して30色,トーン(彩度・明度)に関して,11(無彩色を除く)に分類し,その各々の出現の相対比率(%)を基礎とし,これに関し,32年間の変動の状況をベイズ型季節調整プログラム(BAYSEA)を適用し,分析を行なった。これにより,トレンド成分,季節変動成分,不規則成分が分けられ,各成分の特性から,各色の変動の特徴がみられた。(解析を進めるに当っては,共同研究者間で,しばしば協議,討論を行なった。)
〔成果〕
トレンド成分によって,基調色の中でも,ダークブルー,グレーには数回の山,谷があり,変動が多いと云われていた強調色の中でも,赤,黄などVIVIDトーンのものは変動が少いことがみられた。
季節によって,多く(或は少く)現われる色のあることは,季節変動成分によって明らかに示されたが,更に,季節出現の傾向が,年によって次第に変化する傾向をもつ色のあることも明らかにみられた。(例えば,ピンクは夏に多かったが,最近は春に多く現われている,等)
不規則変動成分がかなり多い色もあり,特に,トレンドで山や谷を示す時点で,不規則性が多いこと,トレンド成分の中で明確な周期性がみられないことなどから,色の出現傾向を予測することの困難性も推察された。
なお,各色のトレンドの同協性等から全体を通して,出現傾向の類似性の強い色,逆の傾向のある色など,色間の関係も把握できた。
これらの解析により,このデータの限りにおいて,女性が着ている色の変遷の状況を詳細・適確に把握することができ,32年間の変化から,社会の様相の変遷とも関係づけ,女性風俗変遷の一端をみることに寄与できると考えられる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高倉節子:日本統計学会(第55回.62年7月27日)において発表(“女性の服色変遷の分析”)
なお,分析の詳細,結果は
「女性服装の色彩30年」:日本色彩研究所編として衣生活研究社から63年8月頃出版予定の書に高倉,近江,児玉が分担執筆し収録される。


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究は,1953年以来,殆ど一貫した方法で,成人女性(毎季500人〜1000人の無作為抽出サンプル)の服色を測定した30年に余るデータを基礎としている。各色(16乃至32に分類)の出現比率について,時系列分析を行ない,各色の出現の変動(季節変動,傾向変動,循環変動等)の様相,及び色彩間の出現の関係等を明らかにしていく。時系列分析に関して,TIMSACの使用を始め,分析方法の具体的助言,示唆を受けるとともに,社会現象のデータへの適用から方法論的展開をもめざすなど,貴研究所との緊密な連携の中にこそ,初期の目的を達し得ると考える。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒 真木夫

統計数理研究所

近江 源太郎

女子美術大学

柏木 宣久

統計数理研究所

児玉 晃

(財)日本色彩研究所