平成31991)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

3−共研−12

専門分類

1

研究課題名

多変量解析における潜在変数モデルの理論と応用

フリガナ

代表者氏名

ヤナイ ハルオ

柳井 晴夫

ローマ字

所属機関

大学入試センター

所属部局

研究開発部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

13 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

入試データの解析には,受験者の能力を潜在変数とみなす潜在変数モデルが有効である。潜在変数モデルとしては,因子分析や共分散構造分析,教育・心理統計の分野における項目反応理論などが良く知られている。近年は各種ソフトウェアの充実により,こうした潜在変数モデルの適用範囲が広がり適用例も急速に増えてきている。こうした動向をふまえて,平成2年度に引き続き潜在変数モデルの理論と応用に関する総合的な研究を行う。


平成2年度に引き続き、同一テーマ、同一研究組織で共同研究を実施した。共同研究の方法は昨年同様2回の研究集会の開催によるもので、第1回目は平成3年11月30日、第2回目は平成4年2月21、22日に開催した。なお、第2回目の研究集会は、統計数理研究所特別研究【情報資源と統計ソフトウエアの組織化(研究代表者:駒沢勉教授)】と共催であり、2回の研究集会で発表された研究発表の数は21でその内容は以下のようであった。
(1)潜在変数モデル(12) 因子分析(5)、共分散構造分析(2)、潜在クラス分析(1)、共分散行列の推定(3)、潜在変数を含む多変量線型モデル(1) (2)多変量解析(6) 主成分分析(1)、正準相関分析(1)、数量化理論(2)、多変量線形モデル(1)、一対比較 1 (3)統計的問題−2 (4)総論−1
平成2年度の研究集会の発表内容の多くが、因子分析に関するものであったのに比較して、今年度の発表は、多変量解析の潜在変数モデルである因子分析、共分散構造分析から必ずしも潜在変数モデルとはいえない主成分分析、数量化理論など多変量解析全般をカバーするものに至るまで多岐にわたった。その内容も理論に偏らず、応用研究、さらには応用を意識した理論研究が多くみられ、狩野裕氏による因子分析における変数選択という発表は、その一例といえよう。さらに、本年度の発表のいくつかにはクロネッカー積を用いたものが見られたが、高次元の多変量解析データを表現するためにはクロネッカー積の利用が有効であろう。
本共同研究は平成2年度に引き続き、多変量解析における潜在変数モデルの理論と応用に関心をもつ計量心理研究者と数理統計研究者が共同して、潜在構造モデルの理論と応用の現状を探りその問題の所在を明らかにし解決の方向を探るという趣旨で行ったもので、今後の検討すべきいくつかの研究課題を明らかにしたという意味で期待の成果が見られたといえよう。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

柳井晴夫他(1991)研究会報告 多変量解析における潜在変数モデルの理論と応用「統計数理」第39巻1号 97-124
狩野 裕(1990)因子分析における統計的推測:最近の発展「行動計量学」,18,1,3-13
繁桝算男(1990)カテゴリカルデータの因子分析「行動計量学」,18,1,41-52
小笠原春彦(1990):共分散潜在構造モデル「行動計量学」,18,1,13-27


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

潜在変数モデルは,歴史的には古いものであるが,心理学などの応用分野で発達してきたことから統計理論家の注目を集めることが少なかった。そのために,広く使われている手法でありながらその統計的理論は必ずしも十分に整備されていない。また,応用の観点からは,近年提案されている各種の潜在変数モデルは,多数の母数を含んでいるために,計算法などにも難しい問題がある。本研究は,平成2年度に引き続いて実施するもので,潜在変数モデルの理論と応用の現状を探り問題の所在を明らかにするとともに解決の方向を探り,その研究成果を報告書としてまとめる予定である。また,統計数理研究所と共同研究を行う必要性は,(1)潜在変数モデルに関する文献の豊富さ,(2)潜在変数モデルに数理統計的立場から関心を持つ研究者が多数いること,等の理由による。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

市川 雅教

東京外国語大学

小笠原 春彦

(財)鉄道総合技術研究所

狩野 裕

筑波大学

小西 貞則

九州大学

駒澤 勉

統計数理研究所

佐藤 学

広島大学

繁桝 算男

東京大学

高木 廣文

統計数理研究所

豊田 秀樹

大学入試センター

藤越 康祝

広島大学

前川 眞一

大学入試センター

渡辺 美智子

東洋大学