平成11（1999）年度　一般研究１実施報告書

課題番号	11−共研−1024	専門分類	9
研究課題名	地球環境のリモートセンシングと統計的方法
フリガナ 代表者氏名	カシワギ ノブヒサ 柏木 宣久	ローマ字	Kashiwagi Nobuhisa
所属機関	統計数理研究所
所属部局	調査実験解析研究系
職　　名	助教授
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研究目的と成果（経過）の概要

環境を地球規模で計測するためにはリモートセンシングの技術が不可欠である。ただし、リモート
センシングにより直接観測できる量は、ほとんどの場合、減衰・散乱等の影響を重畳した形で受けた
電磁波である。そのため、原像の回復はいわゆる逆問題となる。また、電磁波の観測量と実際の現象
との関係は必ずしも単純ではなく、理論式等により決定論的に記述できず、確率論的に記述しなけれ
ばならない場合も多い。本研究では、地球環境計測の精度向上を目的に、リモートセンシングに現れ
る諸問題を解決するための統計的方法について検討した。詳細は以下の通りである。
　陸上の観測点が希少な熱帯地方の降雨を計測するため熱帯降雨観測衛星が打ち上げられ運用されて
いる。主力の計測機器として共同研究者等により開発された降雨レーダーが搭載されており、マイク
ロ波の降雨散乱を利用して降雨強度を推定する。推定には雨滴粒径の確率分布を用いる必要があり、
推定精度向上には雨滴粒径分布の同定精度向上が欠かせない。これに関連し、地上観測データとの比
較検証を通じた分布の同定精度向上、更には降雨強度の時空間分布の同定等を試みた。また、マイク
ロ波は雨中を通過する間に減衰し、そのままでは降雨強度が過小評価されるため、減衰補正が行われ
ている。これに関連し、ベイズ的な降雨強度推定法を開発すると共に、減衰補正の精度向上を試み
た。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

Hossain,Md.M.and Shimizu,K.(1999).Estimation of area rain-rate first product moment and covariance by
the threshold method,J.Japan Statist.Soc.,29,119-133.
Kozu,T.and Iguchi,T.(1999)Nonuniform beamfilling correction for spaceborne radar rainfall measurement:
Implication from TOGA COARE radar data analysis.Journal of Atmospheric and Oceanic Technology,16,
1722-1735.
Kozu,T.,Iguchi,T.,Shimizu,K.and Kashiwagi,N.(1999).Estimation of raindrop size distribution
parameters using statistical relations between multi-parameter rainfall remote sensing data,29th Int'l Conf.on
Radar Meteorology,689-692,Montreal,Canada.
Minami,M.and Shimizu,K.(1999).Estimation of similarity measure for multivariate normal distributions,
Environmental and Ecological Statistics,6,229-248,1999.
Takagiwa,M.,Shimizu,K.,Matsui,I.and Sugimoto,N.(2000).Statistical analysis of cloud distribution
observed with a ground-based lidar,First International Workshop on Spaceborne Cloud Profiling Radar,
Tsukuba,Japan.
Tanaka,M.and Shimizu,K.(1999).Discrete and continuous expectation formulae for level crossings,
upcrossings and excursions of ellipsoidal processes,Sixth International Conference on Statistics,Combinatorics
and Related Areas,South Alabama,USA.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

研究参加者一覧
氏名	所属機関
井口 俊夫	郵政省通信総合研究所
沖 理子	宇宙開発事業団
古津 年章	島根大学
清水 邦夫	慶應義塾大学
福地 一	郵政省通信総合研究所