昭和611986)年度 共同研究集会実施報告書

 

課題番号

61−共研−18

専門分類

3

研究課題名

システム解析とモデル選択

フリガナ

代表者氏名

ワダ タカオ

和田 孝雄

ローマ字

所属機関

稲城市立病院

所属部局

職  名

病院長

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

16 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

我々は昭和60年度統計数理研究所共同研究公募の規定により,「主体内ダイナミカルシステム解析法の開発に関する研究」という名称で研究会を開催する事が出来た。その結果,各種の問題点を浮き彫りにする事が出来たが,とくに生体内のフィードバック機構の解明のために実用的な解析法の確立が急務であるという感を深くした。その目的からいうと,多変量自己回帰モデルが有用であるという示唆もなされたが,いくつか実用上の問題もあり,結論は今後に持ち越された形となっている。
また一方で,生体に問題を限らず,いろいろなシステムを取り扱っている研究者の知恵を持ちよって,学際的な討論をする事が,医学,生物学のみならず各分野の問題解決に役立つのではないかと考えられた。そこで今回は「システム解析とモデル選択」という表題のもとに,より広い視野に立った研究会の開催を提案するものである。


今回の研究会は昭和61年12月6日に,統計数理研究所の会議室において開催された。当初の予定通り,工学者,数学者,自然科学の研究者が一堂に会して,システム解析に有効な新しい手法に関する情報を提供しあった。まず,各種モデルの基礎的な特性,問題点などを検討するため数学者,工学者による講演と討論が行なわれた。石黒は赤池らにより開発されたARモデルを用いた時系列解析の手法を実際に応用するためのポイントを説明した。ついで酒井はARMAモデルの一般化と偏相関係数による特徴づけについて,また中野は信号伝送の遅れ時間の推定法について,川嶋は次数決定におけるMPSSの利用とその評価について論じた。
第2のセッションでは,応用の面から飯塚が生体内のヘム蛋白の反応制御因子の解析に必要な統計的手法について,また峰島は腹膜透析における物質移動モデルについて,南谷はリンパ管収縮リズムのスペクトル解析について論じた。
第3のセッションはARモデルの臨床データ解析を中心に講演と討論が行なわれた。まず松尾が水・電解質の立場から,また鈴木がネフローゼ症候群の血液データ解析の例を示した。最後に和田が臨床データ解析にTIMSACを応用するための変数選択について論じた。これらによりこの面におけるARモデルの有効性が確認された。
全体として,基礎と応用との両面からシステム解析の重要性とその問題点が浮きぼりにされ,将来にむけて大変役立つ研究会となったように思われる。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

赤池 弘次

統計数理研究所

赤松 幹之

慶應義塾大学

荒畑 恵美子

統計数理研究所

飯塚 哲太郎

慶應義塾大学

石黒 真木夫

統計数理研究所

小野 憲爾

長崎大学

川島 弘尚

慶應義塾大学

酒井 英昭

京都大学

佐中 孜

東京女子医科大学

鈴木 洋通

慶應義塾大学

中野 純司

統計数理研究所

秦野 直

琉球大学

松尾 宣武

慶應義塾大学

南谷 晴之

慶應義塾大学

峰島 三千男

東京女子医科大学