平成202008)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

20−共研−2011

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

GPSデータを用いた電離圏・プラズマ圏電子密度トモグラフィー(5)

フリガナ

代表者氏名

ウエノ ゲンタ

上野 玄太

ローマ字

Genta Ueno

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助教

配分経費

研究費

40千円

旅 費

90千円

研究参加者数

4 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

GPS受信機の2周波電波の観測データから得られる視線方向の電子数積分値を用いて、高度100kmから20,000kmまでの電離圏・プラズマ圏の電子密度3次元分布の推定を行う事を目的としている。
衛星を用いた測位システムであるGPSは2周波の電波を使用しており、その2周波電波の地球電離大気による遅延時間の差を用いて、電波の伝搬経路上の電子密度の総数を測定する事が出来る。そのような経路上の電子密度の積分値をTEC(Total Electron Content)と呼ぶが、近年のGPS受信機網の急速な発展により、大量のTECデータが得られている。特に日本には世界に類を見ない高密度のGPS受信機網(GEONET)が国土地理院によって展開され、そのデータからのTECの算出が京都大学によって進められている。これらのデータは積分値であるため、GPS軌道高度の20,000kmから地上までの経路上のどの領域がTECに寄与しているかを推定するにはトモグラフィーによる3次元電子密度分布の推定を行う必要がある。このような電子密度分布の推定によって、観測データが非常に限られている超高層域の物理現象の解明に寄与できる。
 地上に設置されたGPS受信機によるデータはGPS衛星の軌道が高度20,000kmと高いため、視線方向が限定されており、詳細な高度方向の情報を取り出すのに適していない。そのため、電離圏・プラズマ圏の典型的な電子密度高度プロファイルのモデルを用いて高度分布に一定の制限を与えるなどの工夫が必要であり、拘束付き最小自乗法を用いたアルゴリズムを開発した。
 開発されたアルゴリズムで得られる電子密度3次元分布と他の観測手段によって得られたデータとの比較を行い、アルゴリズムの精度の検証を行った。特に、2007年9月に行われたWINDロケット観測では、ロケット、レーダー、GPS受信機網、ビーコン受信機網、光学観測網などのデータとの比較が行われた。本アルゴリズにでは推定精度が低い、高々度の電子密度の推定精度を向上するよう改良を進める必要があることが認識された。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

GPS-TECデータを用いた拘束付き最小二乗法による電離圏トモグラフィー
齊藤 昭則, 藤田 信幸, 上野玄太
2008年日本地球惑星科学連合大会
2008/5/29
千葉


Growth of Medium-Scale Traveling Ionospheric Disturbances Observed During the WIND Rocket Campaign Period
A. Saito, M. Yamamoto, S. Watanabe, H. Nanbu, T. Ono, T. Abe, H. Habu, Y. Otsuka, M-Y. Yamamoto,
Asia Oceania Geosciences Society 5th annual meeting,
2008/6/18
Busan, Korea


中低緯度における地球電離圏プラズマの電波と光による2次元撮像観測
齊藤昭則、西岡未知、山本衛、大塚雄一、津川卓也、IMAPワーキンググループ
日本物理学会第64回年次大会
2009/3/28
東京

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

齊藤 昭則

京都大学

Choosakul , Nithiwatthn

京都大学

西 憲敬

京都大学