平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−35

専門分類

3

研究課題名

ランダムな地震波動の統計処理による地下構造イメージング

フリガナ

代表者氏名

ニシザワ オサム

西澤 修

ローマ字

所属機関

通産省工業技術院地質調査所

所属部局

地殻物理部

職  名

主任研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

地震波は伝播途中に地下のランダムな不均質構造による散乱を受け,位相の一致しないランダムな波を含むようになる.この波は地下の決定論的不連続構造を抽出する際にノイズとなる.このようなランダム波を統計的に処理し不連続構造による波形を分離して地下構造のイメージングを行うための原理と手法を確立する.


ランダム波動のデータを得るために岩石を透過した弾性波の精密計測を行った.波動の計測にはレーザードップラー振動計を用いた.レーザードップラー振動計は微小な領域での振動三成分を計測する装置である.平成9年度は測定手法の開発を行った.
波形のスタッキングにより,計測器機ノイズを相殺し弾性波による振動を取り出すことができた.これらの波形を解析して初等的解析を行い,散乱波の励起の強さと岩石の不均質のサイズとの間の関係を明らかにした.また,弾性波によって励起される固体表面の振動は表面近傍の散乱波によるものであることが明らかになった.
散乱に起因するランダムな波動と振動源からの波動との分離手法の開発を進めている.


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Nishizawa, O., Sato, T., Lei, X., and Kuwahara, Y. Laboratory studies of seismic wave propagation in inhomogeneous media using a laser Doppler vibrometeter, Bull. Seism. Soc. Am., vol. 87, 809-823, 1997.

西澤 修・佐藤隆司・雷 興林, 波動伝播モデル実験の新手法:レーザードップラー振動計の利用, 地震学会秋季大会(弘前), 1997年9月
西澤 修・佐藤隆司・雷 興林, レーザードップラー振動計による超音波三成分の精密計測, 第5回超音波による非破壊評価シンポジウム(日本非破壊検査協会)1998年1月

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

ランダムな構造と幾何学的不連続構造を持つ地下構造縮尺モデルを作成し,室内実験によって模擬的な地震波伝播実験を行い波動を精密に計測する.モデル実験で得られた波形をもとに波動の時間・空間でのランダムな変動を解析して,幾何学的不連続構造で発生した波動とランダム波動とを分離し,地下構造のイメージングを試みる。このためには波形データに対して大規模状態空間モデルによる時系列解析を行う必要があり,統計数理研究所で開発された手法を適用することができる.この研究により地下構造探査精度の向上と信頼性の客観的評価が可能となり,潜在活断層調査,資源探査,地球物理などに多大の貢献が期待できる.


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

北川 源四郎

統計数理研究所