平成212009)年度 重点型研究実施報告書

 

課題番号

21−共研−4102

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

3

研究課題名

クローナル植物における空間変異とその適応的意義の解明

重点テーマ

フィールド生態学と統計数理

フリガナ

代表者氏名

シマタニ ケンイチロウ

島谷 健一郎

ローマ字

SHIMATANI Kenichiro

所属機関

統計数理研究所

所属部局

モデリング研究系

職  名

助教

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

研究目的と成果(経過)の概要

目的
野生生物の集団内に空間構造が形成される要因として、集団全体の遺伝的多様性のみならず、fineスケールでの環境不均一性による選択的分化が指摘されている。一方、実験室内で人工的に作成されたクローン個体では、体細胞突然変異や塩基配列上の変化によらないエピジェネティック変異が、表現型の違いに重要な役割を果たすことがわかってきた。しかし、実際に野外生物集団内においてこのような変異の有無や程度を調べた例はなく、その解析方法も確立されていない。本研究ではアブラナ科のクローン成長する野生種を対象に、クローナル植物の空間変異とその適応的意義を明らかにするため、野外生態調査と分子生物学的実験で得られる実データに対する数理統計学的解析の方法を確立する。野外に生育する種においてこのような現象を把握し、その生育環境との関係を調べることは、集団の維持機構や繁殖様式の進化へとつながる。

経過及び成果
荒木は、工藤らと蓄積しつつあるデータを、共同利用研究「クローン植物における繁殖特性と遺伝構造の空間分析」(代表:大原雅、平成17-20年度)を通して培った統計数理手法により分析し、本重点型共同利用研究集会の場も含め、どのような空間解析法が新たに必要となってきたか議論を重ねた。とりわけ12月の研究集会には本研究参加者全員が参加し、そのチュートリアルで紹介されたcoalescent理論に基づくbackward simulationは、クローナル集団へも適用に値すると思われ、次年度以降のひとつの方向性を与えてくれた。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

クローナル植物の分子生態学 荒木希和子 分子生態研究集会 長野県菅平、2009年12月
タネツケバナ属における分子的基盤 河野真澄 分子生態研究集会 長野県菅平、2009年12月
Neyman-Scottクラスター点過程によるfine-scale空間明示コアレセントモデル 島谷健一郎 分子生態研究集会 長野県菅平、2009年12月

コンロンソウ(Cardamine leucantha)集団の空間変異 荒木希和子,工藤洋(京大・生態研)種生物学会、東京都八王子市 2009年12月

クローナル植物におけるエピジェネティック変異 荒木希和子,工藤洋(京大・生態研)日本生態学会 2010年3月、東京

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

2009年度統計数理研究所重点型共同利用研究
「フィールド生態学と統計数理」研究集会

10月29-30日 統計数理研究所2階会議室1 参加者約50名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

荒木 希和子

京都大学

工藤 洋

京都大学

河野 真澄

京都大学