平成212009)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

21−共研−2012

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

地震発生時の大気振動研究へのデータ同化法の適用

フリガナ

代表者氏名

ナガオ ヒロミチ

長尾 大道

ローマ字

Nagao Hiromichi

所属機関

独立行政法人海洋研究開発機構

所属部局

地球内部変動研究センター

職  名

研究員

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

固体地球と大気が相互作用していることは、当然以前から想定されてはいたものの、その証拠が観測によって捉えられるようになったのは、観測機器の性能や観測網の整備が著しく向上した十数年ほど前からである。典型的な例としては、巨大地震によって震源域から励起される「地震音波」が挙げられるが、このような固体地球−大気結合の研究は、まだ新しく始まったばかりの分野であり、数値シミュレーションとデータ解析がそれぞれ独立に実施されている状態である。そのため、地球科学の様々な分野で成果を挙げているデータ同化法を開発しておくことは非常に重要であると考えられる。本研究では、CTBT夷隅微気圧観測点で検出された2008年岩手・宮城内陸地震に伴う微気圧変動の観測データから、モデルパラメータを推定した一例を示し、今後データ同化を実施していく際に考えるべき点等について調べている。
報告者は、固体地球−大気の1次元結合モデルに対してノーマルモード計算法を適用し、本地震が励起する気圧変動の理論波形を求めた。この結果と観測波形とを30秒以上の長周期帯で比較したところ、成層圏内を伝搬して到来したと考えられるモードについては、両者は非常によく一致することを示した。しかしながら、その他のモードについてはモデルパラメータをどう変化させてもうまくは決まらないことが分かっており、震源パラメータも含めた大量のモデルパラメータを同時に決定する必要があると考えられる。これを実行するために、粒子フィルタ法を基盤とするデータ同化法を適用し、さらにどのパラメータが重要であるかを判断するために、MCMC法との併用によって各パラメータの事後分布を求める手法を提案する予定である。今後は、微気圧データを含める場合と含めない場合とで、データ同化法によって推定したモデルパラメータの事後分布を比較し、微気圧データが震源パラメータの事後分布に与える影響を確かめたい。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

1. 論文発表
長尾大道, 中野慎也, 樋口知之, 大地震に伴う微気圧変動へのデータ同化の応用, 第59回理論応用力学講演会論文, 2010.

2. 学会発表
Nagao, H., N. Kobayashi, Y. Fukao, Y. Ishihara, and S. Tsuboi, Seismic and acoustic wave excitations in a single system of solid earth and atmosphere ?the 2008 Iwate-Miyagi Nairiku Earthquake?, 日本地球惑星科学連合2009年大会, 2009.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本年度は開催せず。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

上野 玄太

統計数理研究所