昭和621987)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

62−共研−91

専門分類

8

研究課題名

社会調査における新技法の開発に関する基礎的研究

フリガナ

代表者氏名

ナオイ アツシ

直井 優

ローマ字

所属機関

大阪大学

所属部局

人間科学部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年,社会調査をめぐる環境は著しく変化している。第1は,標本抽出に関して,住民基本台帳(有権者名簿)の閲覧が困難になり,将来的には地域抽出法を考えなければならず,そのために層化についても検討を必要としている。第2に,調査データの蓄積にともない,調査票の設計に関して,その標準化とともに,根本的な検討が求められている。第3に,調査員や被調査者の調査に対する意識が変化してきており,これに対処するために,従来とは異なった新しい調査技法を開発することが必要である。


中高層住宅地域における世帯の標本抽出法として開発された新しい技法を,千里ニュータウンとその周辺(グレター千里ニュータウンとよぶ)に適用し,その信頼性を検討した。その方法は住宅地図から無作為に集合住宅を抽出し,階段数によって層化し,5階以下では階段棟を無作為に抽出し,5階以上の場合には階数を無作為に抽出する。抽出された階段棟および階数における全世帯を標本として抽出する。抽出させた世帯名を確定するために訪問面接による全世帯構成員のリスティングと住民基本台帳によるリスティングを併用し,両者の信頼性を検討した。
次に,世帯主票(男性)と主婦票(女性)の二つの調査票を作成し,男性票は自記式とし,女性票は直接面接法により調査を実施した。これにより男性と女性の在宅率を比較検討した。また,住宅の所有形態(公団・公社,府営,民間分譲)が回収率に関して大きな影響を及ぼしていることが知られた。
調査項目として家族意識,住宅意識,社会的ネットワーク,階層意識,宗教意識などの項目をとりあげ,質問文の検討を行った。それとともに世帯収入など同一質問を男性票と女性票の両方に含め,回答の信頼性を検討した。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

「地域標本調査の標本精度について」(日本社会学会大会において発表予定)
調査報告書『千里ニュータウン調査報告書』作成予定


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

62年度には,まず標本抽出に関して,可能な抽出台帳の比較検討をするとともに,地域抽出法との標本精度の比較を行なう。このために限られた地域(都市部)で,標本抽出に関する調査を実施する。
次いで,被調査者の日常の生活パタンに関して調査を実施し,在宅率を考慮した新しい調査法を開発する。これにより,層化およびクオータ法に関しても,新しい技法を考えるための基礎的な資料を収集することができよう。
また被調査者の調査に対する態度を調査し,如何にすれば,被調査者が調査に対して好意的に対応するか,その方法を考案する。
63年度には,これらの成果をもとに,さらに他地域に範囲を拡大し,調査データの体系的な収集の方法を考案し,それを実際に適用してみる。
以上の問題については,すでに統計数理研究所において若干試みられているが,本研究では共同研究とすることによって,より成果を蓄積することが期待される。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

鈴木 達三

帝京平成大学