平成222010)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

22−共研−2012

分野分類

統計数理研究所内分野分類

a

主要研究分野分類

4

研究課題名

点過程解析に基づく余震活動の時空間モデリング

フリガナ

代表者氏名

イワタ タカキ

岩田 貴樹

ローマ字

IWATA, Takaki

所属機関

早稲田大学

所属部局

国際教養学部

職  名

助教

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

 多くの大地震(即ち、本震)は余震を伴う。その余震活動の時空間モデリングを行うことが本研究の目的である。特に、余震活動が非常に盛んな、本震断層近傍で起きたものをモデル化することを主眼とする。「速度・状態依存摩擦構成則」と呼ばれる物理則から示唆される応力変化と地震活動度との定量的関係(Dieterich [1994, JGR]。以下、Dieterich式)が、これまでのところ盛んに用いられており、これを基本とする。ただし、Dieterich式から導かれる地震活動の時間変化、特に大地震後の余震の時間減衰については、実際に観測されるものと適合性がよくない。そこで、如何にして、Dieterich式を改善するかについて検討を行った。前年の研究にて考慮した二次余震(余震による余震)(要素1)に加え、時間の対数に対応して変動する応力(要素2)も考慮できるよう、モデルを改良し、それらが合わせてどのようにモデルに寄与するか調べた。
 改良したモデル式は、2004年中越地震及び1995年兵庫県南部地震の2つの大地震後に観測された余震系列に当てはめた。前者では二次余震活動が極めて顕著なのに対し、後者では二次余震活動が目立たないことが対照的な特徴である。
 従来のモデルとの比較については、AICを用いて評価したところ、改良したモデルの方が、従来のものよりも有意によいことが示された。但し、上記2つの要素がモデルに与える影響は一種のtrade-offな関係があるため、2004年中越地震の余震系列に対しては、実質的に要素1のみを取り入れて要素2の存在を無視したようなモデルに帰着してしまい、逆に1995年兵庫県南部地震の余震系列に関しては要素2のみを取り込むような極端な結果となっている。しかし、現実の余震活動のモデル化には両者をバランスよく考慮する必要があり、更なるモデルの改善が必要となることも分かった。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[論文プレプリント]
Iwata, T., Effect of secondary aftershocks on aftershock decay derived from the rate- and state-friction model, ISM Research Memorandum, No. 1137, 2011.

[学会発表]
Iwata, T., Effect of secondary aftershocks on aftershock decay in the rate- and state-friction model, European Geosciences Union General Assembly 2010, 2010年4月.

岩田貴樹, 二次余震が大森宇津公式のp値に与える影響:速度および状態依存摩擦構成則によるモデリング, 日本地球惑星科学連合2010年大会, 2010年5月.

岩田貴樹, 速度・状態依存摩擦構成則によるモデリング ?余効変動を取り入れた場合?, 日本地震学会2010年度秋季大会, 2010年10月.

Iwata, T., An application of rate- and state-friction model to observed aftershock sequences with logarithmical stress evolution in time, 2010 American Geophysical Union Fall Meeting, 2010年12月.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

(なし)

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

飯尾 能久

京都大学

尾形 良彦

統計数理研究所

遠田 信次

京都大学

HARTE, David Shamus

Statistics Research Associates Limited(統計学研究協会)