平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−53

専門分類

6

研究課題名

地震波形データに基づく3次元地球内部構造のモデリングと推定

フリガナ

代表者氏名

ゲラー ロバート ジェイ

Geller Robert, J.

ローマ字

所属機関

東京大学

所属部局

大学院理学系研究科

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

波形データに基づいて、地球内部の3次元不均質構造を推定するという逆問題に統計的モデルを導入して問題を解決する。このために、東大グループが既に開発した方法に加えて更に新しいモデルを開発し、それに必要な計算アルゴリズムを設計する。


本研究の目的は、世界各国が展開しているグローバル地震観測網のデータを解析して、地球内部の3次元構造(密度、弾性波速度の3次元的な分布)を推定することである。逐次線形波形インバージョンにより推定を行い、その際必要となる理論波形とその偏微分係数の計算には我々が開発した、Direct Solution Method (DSM)を用いる。
DSMは水平方向不均質モデルに対して波形インバージョンに必要な量を高精度、高効率で計算する新しい手法である。従来の内部構造推定法が球対称モデルを用いた線形インバージョンであったのに対して、我々の方法では本来解くべき非線形逆問題を逐次的に解くことができるので、高精度の推定が可能となる。本年度の成果を以下にまとめる。
(1)長周期表面波データを解析して、上部マントルのS波速度構造モデル、PUMO(Preliminary Upper mantle Model, version 0)を求めた。PUMOによる理論と観測の残差の改善を、80年代に求められたモデル、M84Aのそれと比較したところ、我々のモデルによる改善の方が大変良いことが分かった。このことは我々の新しい解析法の応用により従来より高精度の推定が行えたことを示している。
(2)逐次インバージョンを行うために、我々は効率のよい計算法、DSMを開発、応用したが、本年度の研究でさらに飛躍的に計算時間を短縮できる新しいアルゴリズムを開発した。簡単な見積により、約1/10程度に短縮できる。このアルゴリズムは表面波ばかりでなく、実体波の解析にも有効である。この新アルゴリズムを今後応用することにより、さらに大量のデータを用いた大規模なインバージョンによる精密な推定が可能となった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

Hara,T., Tsuboi, S.& Geller, R.J., Inversion for laterally heteiogeneous and strncture using iterative Iineariged waveform inversion, Gesphys J. Int,. in press. 1993
Geller ,R.J. a Hara ,T., Two efficiant algorithms for iterative lineariged muersim of seismic waveform data, Gesphys.J.int, in prees, 1993.

Hara.T.,Tsuboi,S,& Galler,R.J., Inversion for laterally heteiogeneous apper manth strmoture using iteratuie lineariged waveform inversion, The thid SEDI symposium, 1992,July
Gallar.R.J., Hara,T, Cummins,P.,& Hatori,T., Using the DSM to invert long period boly waw data for 3-P earth strueture, the thind SEDI symposilm 1992.July.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

1.東大グループが開発した逐次波形波形インバージョン法の性能の統計学的評価
2.マントル核境界の詳細な構造を上記の方法で求める際に現れる大規模行列計算のためのアルゴリズムを開発
3.現行のモデルに有限要素法の考えを導入し、モデルの確率化を計る
4.必要となる大規模非線形最小2乗法のアルゴリズムの開発、等の研究を行なう。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

大滝 寿樹

東京大学大学院

田辺 國士

統計数理研究所

羽鳥 友彦

東京大学大学院

原 辰彦

東京大学