平成202008)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

20−共研−1018

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

3

研究課題名

データベースを用いた医薬品のリスク解析

フリガナ

代表者氏名

ヒエジマ ヨシミツ

比江島 欣愼

ローマ字

Yoshimitsu HIEJIMA

所属機関

東京医療保健大学

所属部局

医療保健学部

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

【目的】
欧米では、公的医療保障(Medicaid)、健康保険組織(HMO)、一般医師の協力を基礎とした地域や病院の医療データのデータベースが数多く構築され、薬剤のベネフィット・リスクのバランスを最適化するために活用されている。一方、日本には、公開されている医薬品の安全性データベースが存在しないために、副作用の仮説生成、仮説強化、仮説検証といった医薬品リスク評価を効率的に実施することが難しい。また、関連する研究も停滞しており、欧米諸国と比べて医薬品の実証的リスク評価が極めて遅れた状況にある。本研究では、リスク解析戦略研究センターで構築を行っている市販後の使用成績調査のデータベースなどを使用して、医薬品領域における定量的リスク科学の実際的な検討を行なう。
【経過】
降圧薬治療下におけるNSAIDsによる降圧作用減弱について検討した。世界的に問題となったCOX2阻害薬のみでなく選択性の低いNSAIDsの併用によっても降圧効果が減弱することを、頻度マッチングに基づくコホート研究により確認し、その成果を論文に取りまとめた。
CYP (チトクロームP450)分子種ごとの基質・阻害薬・誘導薬の辞書を用いて、降圧薬の使用成績調査DBに基づいて薬物代謝が拮抗するCYP3A4の阻害薬・基質である薬剤併用によるカルシウム拮抗薬での降圧治療への影響についての検討を行った。
降圧薬治療下での睡眠障害発生の関連要因の検討、特に血圧管理の問題との関連について検討し、その成果を関連学会において発表した。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・ Ishiguro1 C, Fujita T, Omori T, Fujii Y, Mayama T, Sato T. Assessing the Effects of Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs on Antihypertensive Drug Therapy Using Post-Marketing Surveillance Database. J Epidemiol 18: 119-124, 2008.
・ 藤田利治.副作用評価におけるシグナル検出.第14回日本薬剤疫学会学術総会:2008年11月:東京.第14回日本薬剤疫学会学術総会抄録集,S24-25.
・ 田辺直人、藤井陽介、宇賀神諭、藤田利治、折井孝雄.降圧剤使用成績調査データベースを利用した降圧剤の睡眠障害に関する薬剤疫学的検討.日本薬学会第129年会 2009年3月:京都.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

宇賀神 諭

NTT東日本関東病院

折井 孝男

NTT東日本関東病院

田邉 直人

NTT東日本関東病院

藤田 利治

統計数理研究所