平成212009)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

21−共研−1005

分野分類

統計数理研究所内分野分類

d

主要研究分野分類

3

研究課題名

症候サーベイランスにおける統計解析手法の研究

フリガナ

代表者氏名

タカハシ クニヒコ

高橋 邦彦

ローマ字

Kunihiko Takahashi

所属機関

国立保健医療科学院

所属部局

技術評価部

職  名

研究員

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

本研究は最近世界的に注目されている症候サーベイランスに関連し,その統計解析法についての研究である.特にその解析として中心的に用いられる「集積性の検定」という対象イベントがある地域に集積して起こっているかどうかを検討する際に有用となる統計的検定手法について検討を行う.実際に米国では集積性の検定によるサーベイランスが行われている.そこで本研究課題では,申請者らが開発した平面における検定手法の拡張を含め,サーベイランスに適用するための時間要素を含めた検定手法の開発を行い,さらに米国で用いられている手法などとの比較のための評価についても検討を行うことを目的とする.
本年度の研究としては,(1)サーベイランスに焦点をあて,従来の統計モデルでは考慮されていなかった事象の勃発の立ち上がりを新たにモデル化した空間・時間スキャン統計量を開発し,提案した。実際,小学校の学校欠席数をもちいたサーベイランスデータに適用し,またシミュレーション比較を行ったところ,従来モデルとの比較し,より事象発生の立ち上がりをより正確に検出することができた.(2)実際のサーベイランスへの適用として,ニューヨーク市保健局での2009年の新型インフルエンザデータを用い,現時点で利用されている平面上におけるSaTScan法と,我々が提案しているFleXScan法(平面状)の比較を行った。その結果,FleXScan法のほうが,後日分かった確定患者をより多く早めに同定していたという点において,優位性が示された。
次年度において,さらに統計量の理論的検討を行い,より精度のよい検出法の提案に向け検討を行っていく予定である。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・Tango T, Takahashi K and Kohriyama K. A space-time scan statistic for detecting emerging outbreaks. Biometrics (印刷中).
・高橋邦彦, 丹後俊郎. 感染症疫学と症候サーベイランスへの疾病集積性検定の応用. 2009年度統計関連学会連合大会企画セッション「感染症対策における計量生物学の貢献」. 同志社大学, 2009年9月7日.
・高橋邦彦. 新型インフルエンザ発生動向に係る統計的諸問題〜データ収集から統計的推測へ〜.日本計算機統計学会第23回シンポジウム特別講演. 札幌学院大学, 2009年11月8日.
・Goranson C, Konty K, Takahashi K and Paladini M. Flexible and circular ILI clusters during H1N1 Investigation in NYC. Eighth Annual International Society for Disease Surveillance Conference, December 3-4, 2009, Miami, FL, USA.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

丹後 俊郎

国立保健医療科学院

飛田 英祐

国立保健医療科学院

山岡 和枝

国立保健医療科学院