平成16（2004）年度　一般研究１実施報告書

課題番号	16−共研−1021	専門分類	9
研究課題名	ダイオキシン類組成解析による挙動並びに発生源の検討
フリガナ 代表者氏名	ササキ　ユウコ 佐々木　裕子	ローマ字	Sasaki Yuko
所属機関	東京都環境科学研究所
所属部局	分析研究部
職　　名	部長
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研究目的と成果（経過）の概要

ダイオキシン類による環境汚染の的確な対策を進めるためには、原因の解明が必要である。
そこで、発生源寄与率の精度の高い推定を目指し、主な発生源である焼却、農薬不純物、塩素
処理、PCB製品などに特有な異性体・同族体プロフィールの収集、並びに解析方法の検討を行
った。さらに、全国各地の大気、土壌、水環境の発生源寄与率の解析を進めた。
　発生源の異性体・同族体プロフィールに関しては、前年度までに引き続き、農薬不純物や農
薬燃焼物の詳細分析による全異性体データの収集を進めた。また、東京都の運河底質から検出
された高濃度ダイオキシンの組成を活用し、塩素処理由来のダイオキシン組成を推定した。
　発生源寄与率の解析法としては、重み付き最小二乗法によるCMB法並びに関数関係解析によ
るCMB法を用い、最適な条件を検索するため,ガンマ(Gm)・対数正規(Ln)・多項(Mn)・打ち切
り正規(Tn)分布の4種類のモデルによる解析を検討した。また、多重共線性に対処する方法の
一つとしてベイズ型重回帰モデル法についても検討を行った。
　具体的な解析としては、宮城県における燃え殻等による不法投棄場所の土壌試料や、東京都
の一般環境土壌、河川底質のダイオキシン類組成などを基に,上記方法を用いて、発生源寄与
率の推定を行った。環境組成における誤差に加え,発生源組成に対しても誤差を考慮した関数関
係解析-CMB法は,安定した結果が得られた。多重共線性が無視できない発生源データによって解
析を行う場合は,ベイズ型重回帰モデルで対処可能であった。関数関係解析-CMB法を用いた際,
絶対残差和が大きくなる地点については未知発生源の存在が予測されることから,未知発生源解析
モデルも併用したトータル的な解析を進めることで,多種多様なデータに対しても発生源寄与率推
定が可能なるものと推察された。

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

論文発表
Kashiwagi,N.(2004).Chemical mass balance when an unknown source exists,Environmetrics,15,
777-796.
佐々木啓行,飯村文成,津久井公昭,吉岡秀俊,佐々木裕子,安藤晴夫,柏木宣久(2004)。水環境中の底質
におけるダイオキシン類の蓄積,東京都環境科学研究所年報,117-123。
安田裕,村瀬秀也(2004)。岐阜県内河川環境中のダイオキシン類(第2報)?同類体組成情報を用いたPCDD/Fs
の汚染起源別寄与率の推算と実試料への適用?,岐阜県保健環境研究所報,Vol.12。
学会発表
安田裕,村瀬秀也,橋本俊次(2004)。岐阜県内河川環境中のダイオキシン類??同族体組成情報を用いた
PCDD/Fs汚染起源別寄与率の推算と実試料への適用?,環境化学討論会。
村山等,鈴木貴博,茨城剛,種岡裕,澁谷信雄,橋本俊次,柏木宣久(2004)。ケミカルマスバランス法を用
いたダイオキシン発生源寄与の推定その1,環境化学討論会。
佐々木啓行,飯村文成,津久井公昭,吉岡秀俊,佐々木裕子,柏木宣久(2004)。東京都内における環境中の
ダイオキシン類の組成についての考察,環境化学討論会。
柏木宣久(2004)。環境測定濃度に対する未知汚染発生源の寄与率の推定,日本統計学会。
佐々木啓行,飯村文成,柏木宣久,佐々木裕子(2004)。水環境のダイオキシン発生源組成解析,日本水環境
学会シンポジウム。
柏木宣久(2004)。リセプターモデリングによる未知汚染発生源に関する推論,ISMシンポジウム「環境科学
と統計科学の新たな融合」。
吉岡秀俊,飯村文成,佐々木裕子,橋本俊次,柏木宣久(2004)。都内大気のダイオキシン類汚染;Co-PCB
濃度の季節変動と組成解析,大気環境学会。
Sasaki,Y.,Iimura,F.,Sasaki,H.,Yoshioka,H.,Abe,T.,Yamamoto,T.,Hashimoto,S.,Ito,H.,
Kashiwagi,N.and Morita,M.(2004).Specific congener profile of dioxins in contaminated canal
sediment in Tokyo,China-Japan Joint Symposium on Environmental Chemistry.
Suzuki,T.,Yamaguchi,A.,Ibaraki,T.,Ohno,K.,Murayama,H.,Shibuya,N.,Hashimoto,S.and
Kashiwagi,N.(2004).Estimation of dioxin source contributions using a chemical mass balance method
improved with functional relationship analysis,China-Japan Joint Symposium on Environmental
Chemistry.
中村朋之,大塚英幸,佐々木啓行,半野勝正,鈴木貴博,小澤秀明,村瀬秀也,大原俊彦,柏木宣久,橋本
俊次(2004.)。ダイオキシン類分析における高圧液体抽出法の問題点と運用方法の最適化,環境保全・公
害防止研究発表会。
柏木宣久(2005)。ダイオキシン類データの統計解析,統数研共同研究集会「環境統計データ解析の理論と実
際」。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成16年7月7日　改良CMB法プログラム,静岡グランシップ,15名
平成16年10月4日　各地の環境試料の解析例,統計数理研究所,19名
平成16年12月9日　発生源プロファイル収集状況,統計数理研究所,18名
平成17年3月8日　解析手法の地域適用と総合検討,国立環境研究所,18名

研究参加者一覧
氏名	所属機関
阿部　圭恵	東京都環境科学研究所
安藤　晴夫	東京都環境科学研究所
飯村　文成	東京都環境科学研究所
石渡　康尊	千葉県環境研究センター
茨木　剛	新潟県保健環境科学研究所
大野　勝之	新潟県保健環境科学研究所
大原　俊彦	広島県保健環境センター
岡本　拓	広島県保健環境センター
小澤　秀明	長野県衛生公害研究所
柏木　宣久	統計数理研究所
加藤 謙一	宮城県保健環境センター
佐々木　啓行	東京都環境科学研究所
菅谷　和寿	茨城県公害技術センター
鈴木 滋	宮城県保健環境センター
鈴木　貴博	新潟県保健環境科学研究所
友部　正志	茨城県公害技術センター
中村　朋之	宮城県保健環境センター
仁平　雅子	千葉県環境研究センター
半野　勝正	千葉県環境研究センター
日浦　盛夫	広島県保健環境センター
菱沼　早樹子	宮城県保健環境センター
村瀬　秀也	岐阜県保健環境研究所
村山　等	新潟県保健環境科学研究所
安田　裕	岐阜県保健環境研究所
山口　晃	新潟県保健環境科学研究所
山本　央	東京都環境科学研究所
吉澤　正	千葉県環境研究センター