平成14（2002）年度　一般研究１実施報告書

 

課題番号

14−共研−1006

専門分類

3

研究課題名

非線形時系列解析による未熟児脳の脳波と脳幹活動との相互応答(第1報)

フリガナ

代表者氏名

オガワ　テルユキ

小川　昭之

ローマ字

Ogawa Teruyuki

所属機関

大分医科大学

所属部局

医学部

職　　名

名誉教授

所在地

TEL

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E-mail

URL

 

 

 

研究目的と成果（経過）の概要

*共同研究者:後藤初美a、石黒真木夫b、滝沢由美b(a恵の聖母の家、b統計数理研究所)
研究目的と成果(経過)の概要
[目的]Novak.Pら(1997)の脳波振幅変調の方法に従って、脳波(EEG)、RR間隔(RR-I)、呼吸(RESP)の各「揺
らぎ」から制御応答システムとその発達特性を明らかにし、さらに臨床的応用を目的とした。
[対象・方法]受胎後週数42週1日の未熟児を対象とした。脳波は国際電極配置10-20法を用いて、耳朶を
不関電極とした単極電極導出法より脳波を磁気記録し、サンプリング間隔20msecでA/D変換を施し時系列を
求めた。脳波導出部位はC3とした。脳波振幅変調の方法は、瞬時最大エントロピー法(滝沢ら1997)による
脳波時系列の各時刻のパワースペクトルからDelta(-4Hz)、Theta(4-8Hz)、Alpha(8-13Hz)帯域パワーを2sec
ごとに求め、それぞれをサンプリング間隔2secの時系列とした。さらに得られたδ、θ、α帯域パワーから
の時系列と同時サンプリングのRR-I、RESPにAR解析を施し、パワースペクトルを求め、脳波振幅変調周波数
とRR-I、RESP周波数との比較を行った。
[結果]δ帯域では0.0184、0.0672、0.1127、θ帯域では0.0246、0.0973、0.1642Hz、α帯域では0.0431、0.0972、
0.1644Hzにスペクトルのピークがみられ、δ、θ、α帯域の脳波振幅変調周波数が明らかになった。一方RR
間隔では0.05、0.1071、0.1788Hz、呼吸では0.0951、0.1982Hzにそれぞれのピークがあり、脳波振幅変調周
波数に一致する周波数が存在した(TABLE1)。
[考按]上記結果は脳波、RR間隔、呼吸の制御応答システムの存在を示すものと考えられた。またC3では呼
吸と一致する0.1Hz前後の低周波数振幅変調がすべての帯域で存在したことから、とくに呼吸中枢と呼吸との
関係が脳波に現れているのではないかと考えられ、これにより重症脳性麻痺児が発達過程でときとして発症す
る呼吸困難発症予知への臨床的応用の可能性が示された。しかしながら,3パラメータ間の制御応答システム
や発達特性の詳細は今後の研究の結果をまたねばならない。

 

当該研究に関する情報源（論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等）

[1] Novak P,et al(1997).Transcranial Doppler Evaluation in Disorders of Reduced Orthostatic
Tolerabce,Clinical Autonomic Disorders,2nd ed.(P.A.Low),349-368,Lippincott-Raven
Publishers,Philadelphia.
[2] Takizawa Y,Ishiguro M,Uchida S,Hirai N(1997).Human Sleep Electroencephalogram Analysis
Based on The Instantaneous Maximum Entropy Method,IEICE trans.fundamentals,vol.E80-A,No6,
965-970.
[3] Ogawa T,Kojo M,Fukushima N,Sonoda H,Goto K,Ishiwa S,Ishiguro M(1993).Cardio-respiratory
control in an infant with Ondine's curse : a multivariate autoregressive modeling
approach,Jauranl of the Autonomic Nervous Systm,42,41-52
[4] Ogawa T,Sonoda H,Ishiwa S,Shigeta Y(1993).An application of autoregressive model to pattern
discrimination of brain electrical activity mapping,Brain Topography,volume 6,Number1,3-11

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

石黒　真木夫

統計数理研究所