平成41992)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

4−共研−9

専門分類

1

研究課題名

正値連続確率変数の分布の理論と応用

フリガナ

代表者氏名

マツナワ タダシ

松縄 規

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計基礎研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

正値連続確率変数の分布の内で代表的な地位を占めている、逆ガウス分布、対数正規分布、ランダム・ウォーク分布、片側安定分布、ガンマ分布について、その特徴付けを行うこと。また、工学上の具体的な実験データについて、これらの分布がどの程度適合するかを検討する。


正値のみを取る連続型確率変数についての基礎研究を行なった。一般化算術平均を提案し、これから主パラメータの関数に関する推定方程式を得た。更に、修正した最尤推定法を用いて分布の特定方程式を与えた。これらを組み合わせることにより修正化された指数分布族を得た。この中には例えば、逆ガウス分布、ガンマ分布等が算術平均から;対数正規分布が幾何平均から;ランダムウオーク分布,逆ガンマ分布が調和平均から誘導できることを示した。
算術平均を一般化したヘルダー平均からはより多くの分布を導けることも示した。逆数対数幾何平均なるものを導入して、パレート分布,対数ガンマ分布も導いた。その他に分布誘導の最終段階で決定される規格化定数の中に主要パラメータが入り込むため、修正最尤法では捉えることができないが、上の結果と密接に関連する興味ある分布を若干見いだした。即ち算術平均と調和平均の積を幾何平均したものをトリニティ平均として導入し、曲線指数分布族を得た。
この中には曲線逆ガウス分布、同伴曲線逆ガウス分布、B−S分布を見いだした。また、簡潔で意味のある平均と結び付けることは現段階では難しいが、適切な推定方程式を与えることにより、ロジスティク分布、コーシー分布,ベータ分布、フォンミーゼス分布、プランク分布を導いた。
これらの分布の実際面での応用についても少し考え、交通流の解析,キャビィテイションの発生頻度分布についての基礎的なデータを実験を通じ収集したが、解析、データ収集とも未だ不完全であり、今後の課題として残った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

T.Matsunawa,Specification of Models for Observations,Research Memorandum NO,437,1992.

松縄 規、正値連続確率変数の特徴付け、日本数学会、1992年4月4日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

近年その重要性が認識されている、正値のみを取る連続型確率変数の分布について、理論及び応用両面の基礎研究を行なう。特に逆ガウス分布、ランダムウォーク分布、片側安定分布について、従来とは異なる立場からの特徴付けを行ない、各分布の意味を明らかにする。また、これらの分布が流体力学のある種の実験データを良く説明する事が期待されている。この点を実際の実験データを用いて確かめることも計画している。
この共同研究はこれ迄の、正規分布を中心とした統計的接近を修正・強化する可能性を持っており、意義あるものと確信している。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

山本 勝弘

早稲田大学