平成18(2006)年度 一般研究1実施報告書
| 課題番号 | 18−共研−1009 | 専門分類 | 5 | 
| 研究課題名 | 統計論的トンネル速度理論の開発 | ||
| フリガナ 代表者氏名 | タケツグ テツヤ 武次 徹也 | ローマ字 | Taketsugu Tetsuya | 
| 所属機関 | 北海道大学 | ||
| 所属部局 | 大学院理学研究科 | ||
| 職 名 | 教授 | ||
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| 研究目的と成果(経過)の概要 | 
| 我々のグループでは、トンネル効果や非断熱遷移など核の量子効果をあらわに取り扱うことのできる、化学反応を第一原理的にシミュレートする手法およびプログラムの開発を目的として研究を進めている。18年度は、高精度ab initio法に基づき反応ダイナミクスを調べるシミュレーション手法の開発と応用を行った。18年度は特に星間分子をターゲットとして、量子波束法による解離性再結合反応HCNH+ + e- の研究、およびab initio分子動力学法による衝突反応C + NH2および解離性再結合反応H3O+ + e-, HD2O+ + e-のダイナミクスの研究を行った。解離性再結合反応は、陽イオン分子と電子の衝突から中性の解離生成物が生じる反応であり、複数の解離チャンネルが存在することと、複数の励起状態が関与することからこれまで理論的取り扱いが困難であった。本研究では、Tullyの最小遷移数アルゴリズムを採用し、状態遷移を考慮したab initio分子動力学法のプログラムを開発して、種々の解離生成物の分岐比を調べた。H3O+ + e- では解離生成物として、H2O + H, OH + 2H, OH + H2, O + H2 + Hと4種のチャンネルが実験により観測されているが、本シミュレーションにより実験で報告されている分岐比を定性的に再現することができた。また、重水素置換した系においてはDよりHの方がより早く解離するために重水素を含んだ化合物が多く生成することを見出し、星間空間における観測事実をダイナミクスより説明することができた。 | 
| 当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等) | 
| (1) K. Ishii, A. Tajima, T. Taketsugu, and K. Yamashita, “Theoretical elucidation of the unusually high [HNC]/[HCN] abundance ratio in interstellar space: two-dimensional and two-state quantum wave packet dynamics study on the branching ratio of the dissociative recombination reaction HCNH+ + e- → HNC/HCN + H,” Astrophys. J., 636, 927-931 (2006). | 
| 研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。 | 
|   なし | 
| 研究参加者一覧 | |
| 氏名 | 所属機関 | 
| 山下 智志 | 統計数理研究所 |