平成142002)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

14−共研−3

専門分類

3

研究課題名

カオス時系列における相関次元の推定

フリガナ

代表者氏名

カワグチ アツシ

川口 淳

ローマ字

Atsushi Kawaguchi

所属機関

九州大学大学院

所属部局

数理学府

職  名

博士課程2年

所在地

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研究目的と成果の概要

カオス時系列のアトラクターがもつフラクタル性について研究している。
このフラクタル性はGrassberger-Procaccia(1983)によって提案された
相関次元によって定量化されていて、その推定法についての研究を行って
いる。
昨年度は、重み付き最小二乗法による推定量を提案し、計算機シミュレー
ションにより、Cutler(1991)、Smith(1992)が提案した推定量と比較しそ
の卓越性を示した。
平成14年度は、その提案した推定量をもとにして、U-統計量を用いた重み
なし最小二乗法による推定量を提案した。この推定量と重み付き最小二乗
法による推定量とを計算機シミュレーションにより比較したところ同等
であったが、計算時間の短縮、便宜上立てた仮定を緩めることができると
いうことにおいて、新しく提案した推定量の方が優れていることがわかっ
た。
また、有限個のデータではアトラクターの情報を十分捉えきれず、相関次
元推定値が初期値に依存する。さらに、計算機によるシミュレーションで
は、計算機の丸め誤差がカオス力学系の初期値鋭敏性により増大し、相関
次元推定に影響する。このことをスーパーコンピュータを用いたシミュレ
ーションで確かめ、カオス力学系の初期値鋭敏性に対する相関次元推定値
の精度保証区間を提案した。