平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−55

専門分類

6

研究課題名

松代群列地震観測システムの波形・験測値データの統計的手法による解析

フリガナ

代表者氏名

タカヤマ ヒロユキ

高山 博之

ローマ字

所属機関

気象庁

所属部局

精密地震観測室

職  名

主任研究官

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

9 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

松代群列地震観測システムで観測されたネット近傍で発生した地震波形のP及びSコーダ波を用い、各観測点のコーダQ値を求め、各観測点下の堆積層がコーダQ値に与える影響を考察する。また同システムで決定された震源にみられる、広域の観測網による震源との深さに関するずれについて統計的に評価し、震源の補正方法について検討する。


長野市松代町にある気象庁地震火山部地震津波監視課精密地震観測室の群列地震観測システム(MSAS)は、半径5kmほどの円周上および中心の計7地点(本年度途中より8地点)に地震計を置き、テレメータにより松代にデータを集約して地震波を観測するシステムである。
このシステムにより松代周辺はもちろん、世界の広域的な地震の震源を決めることができるが、MSASで決定された震央は、より広範囲なデータを用いて決定した気象庁(JMA)や米国地質調査所(USGS)の震央と比較してずれがみられる。
この原因としては、P波やS波の不明瞭さによる到着時刻の読み取り誤差に基づくランダム(unbiased)なものと、地震波の伝播経路の速度構造の不均質性に基づく系統的(biased)なものが考えられる。
本研究の目標は松代観測点の位置を原点として、北方向から角度が始まる極座標を考え、MSAS によって推定された震央と真の震央の系統的な偏差の関数を求め、それからMSAS震央から真の震央への補正写像をつくり、実際に近い震央を予測することである。
データが多量であるため、上記の補正写像はかなり複雑であり、多くのパラメータを必要とする。このため写像がある程度滑らかであると仮定する。
上記の方法で 1984〜1988 年のデータによって推定された補正写像を用いて 1989〜1992 年の MSAS 震央を補正したところ、良好な結果が得られた。また従来精密地震観測室で用いていた線型の震央位置補正法と比較しても、有効な改良がみられた。
本年度は、震源の深さも考慮して補正写像が求められないか、1984年〜1994年までのデータについて検討を行った。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高山博之,群列地震観測システムの震源決定プログラムの改良,気象庁精密地震観測室技術報告,第15号,1998年3月


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

松代群列地震観測システムで観測された一様な分布ではない地震のコーダ波から、種々の周波数帯域および各観測点でのコーダQ値を求め、ある程度のばらつきを持った多くのデータから各観測点下の堆積層がコーダQ値に与える影響を考察する。また震源の補正方法については、これまでに同システムによる震源に対する補正写像が得られているが、震源の深さに関する補正は行っていない。深さに関してもこれまでと同様な補正写像を求め、より客観的な読み取り方法の検討を含めた震源決定法の検討を行う。これらの研究には高度な統計的手法の利用が必要であり、統計数理研究所の協力指導のもとに共同研究を実施するのが効果的である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

阿部 正雄

気象庁

尾形 良彦

統計数理研究所

柏原 静雄

気象庁

公賀 智行

気象庁

駒木 文保

統計数理研究所

下田 正人

気象庁

仲底 克彦

気象庁

本間 直樹

気象庁地震火山部