平成152003)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

15−共研−2048

専門分類

8

研究課題名

CBTにおける項目プール構築と管理のための統計的方法

フリガナ

代表者氏名

ムラキ エイジ

村木 英治

ローマ字

Muraki Eiji

所属機関

東北大学

所属部局

大学院教育情報学研究部

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

CBT(Computer Based Testing)の運用が成功するためのキーポイントの一つは,いかに適
切なかつ豊富な項目プールを作成し,維持管理するかという点にある。国内にはCBTの導入
と運用の実例が少ないので,日本でのテスト実施環境に適した,いわば「日本型項目プール」
の構築と管理のための方法論的研究,および運用経験の蓄積が急務と考えられる。
 本共同研究は,項目プールの維持と管理に関する統計的な方法に関して,設定したいくつか
の目標についての実践的な知見を得ることを目的として発足させたものである。その際,臨床
実習に入る前の医学部学生を対象とした共用試験(仁田・奈良・石田他(2004)を参照)の項目プ
ールを典型例として念頭におきつつ,各種実データに基づいた検討を行う。
 活動1年目の本年度(平成15年度)は,メンバーが各自の関心に基づいて研究テーマとデー
タを持ち寄り,情報交換や成果に対する討論を行いながら研究を進めた。その成果は2004年1
月に開催した研究集会(別記参照)で発表し,共同研究メンバー外の研究者との討論を行った。
検討されたテーマは大まかに以下のように分類することが可能である。
1.多数の項目・テストフォームが存在する条件での適切な等化デザインについて:
 Muraki et al.(2004)は,さまざまな等化のためデザインが,多母集団のIRTモデル
という統一的な観点から整理・表現可能であることを論じ,米国の代表的な教育到達度
試験であるNAEPの実データに対する適用を通じて方法間の比較を行った。仁田・前田 他
(2004,投稿中)は,医学共用試験に対する具体的な適用成果をまとめている。
2.項目プールの構築と維持における諸問題
 柳本・前田(2003)は項目プールからの無作為な出題の可能性と意義を論じ,三好・柳本
(2004)は,項目プールの構築にあたって依拠すべき学習指導要領やコア・カリキュラム
の役割を考察した。佐藤他(2004)は日本語基礎能力テストの具体的な項目プールを素材
とし,時間経過とともにプール内項目の統計的な特性が変化する可能性を吟味した。
3.その他の話題
 項目の予備的スクリーニングと誤答分析の統計的方法としての設問解答率分析(仁
田・柳本他(2004)),出題形式に合わせたIRTモデルの拡張(萩原他,2004),日
本の公的試験における制度的問題(荒井・前川(2004))などの話題を議論した。
 1年目の成果と反省に基づき,研究テーマの一方で絞り込み,他方で拡充する必要性を
感じ,平成16年度にも引き続き共同研究として申請し,採択されたところである。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

下記で,下線部を付けた著者が共同研究メンバーである。
学会誌論文
●柳本武美・前田忠彦(2003)無作為化項目試験の枠組とその基盤,行動計量学 第30
巻2号,213-221。
●仁田善雄・前川眞一・柳本武美・前田忠彦 他(2004)項目反応理論を用いた第1回共
用試験医学系CBTの統計解析(投稿中)
●(上記論文の参考論文)仁田善雄・奈良信雄・石田達樹 他(2004)第1回共用試験医
科CBTトライアルの統計解析。医学教育,第35巻2号。
研究成果の発表資料集
統計数理研究所研究教育活動報告No.18(2004年2月)
「大規模試験の構築と運用をめぐる諸問題 ?研究集会 報告資料集?」
本冊子には,別記の研究会における講演・研究発表の報告資料あるいは関係論文を収録した。
共同研究メンバーによる関係論文,資料等は下記の通り。(末尾の数字は冊子内ページ数)
●仁田善雄・前川眞一 他「第2回医学系CBT共用試験トライアルの統計解析」(18-22)
●Eiji Muraki&Minhwei Wang "Application of the Multiple-Group Item Response Model
to NAEP Equating Procedures"(23-26).
(本論文と同タイトルのより詳しい資料を,研究集会の配付資料とした。第1著者へ請求されたい。なお研
究集会時の講演タイトルは「項目反応モデル理論におけるテスト間の等化(Equating)方法の比較紹介:NAEP
に使われている等化方法を中心として」である。)
●荒井清佳・前川眞一「日本の公的機関が実施する大規模試験の比較」(61-62)
●萩原康仁・山森光陽「拡張組合せ形式をとったリスニングテストの分析法についての
一提案」(63-66)
●佐藤洋之・伊藤博美・倉元直樹「高校生における日本語基礎能力の測定」(67-70)
●三好美浩・柳本武美「学習指導要領に準拠した項目プールからのサンプリング」(71-76)
その他の学会発表等
●仁田善雄・柳本武美・前川眞一・前田忠彦 他(2004)共用試験医科CBTの結果の設
問解答率分析。応用統計学会第25回シンポジウム講演予稿集 1-6。
ホームページ
別記「研究会の開催」の項参照。

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

佐藤 洋之

東北大学

中村 知靖

九州大学

仁田 善雄

東京医科歯科大学

萩原 康仁

株式会社 教育測定研究所

前川 眞一

東京工業大学

前田 忠彦

統計数理研究所

柳本 武美

統計数理研究所