平成81996)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

8−共研−120

専門分類

8

研究課題名

交通現象に関する旅行者行動の計量的分析方法の開発

フリガナ

代表者氏名

ヤマシタ サトシ

山下 智志

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

統計科学情報センター

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

近年、公共事業における交通需要予測の重要性が増大している。そのため非集計LOGITモデルをはじめ多くの統計モデルがこれまで開発されてきたが、その予測精度は依然十分なものではない。本共同研究は交通現象の予測精度向上を目的とし、非集計LOGITモデルと、期待効用関数理論、共分散構造解析、シュッタケルベルグ均衡理論等の統計的もしくは経済的諸理論との整合性を検討する。


交通機関の需要予測を行う際、所要時間の不確実性が需要量に影響を与える事実は、従来から指摘されてきた。本研究参加者はこれまで所要時間の不確実性を需要予測モデルに挿入する方法論をこれまで詳しく研究してきた。
とくに本年度行った研究の特徴は、到着制約時刻を基準とした、時刻単位のNM効用関数を設定することにより、旅行者行動の計量化を行うものである。さらに、いくつかのNM効用関数の形状の候補をあげ、比較検討を行う。この結果、より旅行者の感性に近い効用関数であるだけでなく、予測精度の向上に貢献することが判明した。
また、旅行者の主観的所要時間分布を統計的に推定する方法を開発し、合理的期待形成を仮定しないモデルを作成した。その結果、客観的な所要時間分布を前提としたモデルに比較して、主観的所要時間分布を前提としたモデルは、推計精度が高いことが判明した。また、旅行者の主観は、現実の所要時間分布より、リスクを過小評価する傾向にあることがわかった。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

山下智志、萩山実:知覚所要時間分布の形状過程と需要予測, 日本行動計量学会第24回大会発表論文抄録集, 46-47, 1996.9
Yamasita S., Hagiyama M.,: Subjective distribution of the travel time, ISM Research Memorandum, No545

山下智志、萩山実:旅行者の経験に依存する知覚所要時間分布を用いた交通需要予測, 土木学会第51回年次学術講演会講演概要集, 51-4, 1996.9

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

当研究グループは上記目的達成のため、継続的にアンケート調査、室内仮想実験、研究集会、学会発表等を行っている。平成8年度については、認知過程および意識構造分析を中心としたモデリングを行う予定であり、それに伴い種々の調査を実施する。具体的には特定事業の評価については、NM効用関数やLISRELモデルと非集計LOGITモデルの融合を検討し、推計精度や内生パラメータの推計に調査結果を利用する。国土計画の評価についてはシュタッケルベルグ的アプローチによるモデリングを検討する。研究成果については土木学会論文集等で発表する予定である。この研究には統計的技術と交通分野の知識の両方が不可欠であるだけでなく、調査理論、心理学的アプローチ、最適化等の幅広い数理的知識を必要とし、統計数理研究所共同研究として相応しいテーマであると考えられる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

黒田 勝彦

神戸大学

佐々木 邦明

名古屋大学

森川 高行

名古屋大学

Yang Sung

神戸大学大学院