平成182006)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

18−共研−2048

専門分類

8

研究課題名

健康に深く関連する生活習慣のコウホート分析

フリガナ

代表者氏名

ナカムラ タカシ

中村 隆

ローマ字

NAKAMURA, Takashi

所属機関

統計数理研究所

所属部局

データ科学研究系

職  名

教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

50千円

旅 費

0千円

研究参加者数

6 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

[研究目的]
健康増進法の制定を見るまでもなく,わが国の国民の健康問題を取り上げるに際し,国民がこぞって改善すべき生活習慣項目のうち,主に[1]身体活動・運動習慣,[2]飲酒習慣,[3]喫煙習慣を取り上げ,国民健康・栄養調査資料を中心に関連するデータをコウホート分析することを研究目的とした。
かつて成人病と呼ばれた「生活習慣病」は,その名の示すごとく無意識のうちに日常生活の中で繰り返される長年の行動(習慣)が原因となっている疾患のことである。本研究で取り上げた上記の三項目の生活習慣は,「一度身についた習慣が長期間にわたって持続する」点が問題とされており,その影響であるコウホート効果(=世代差)の存在が予測され,ベイズ型コウホート分析を適用する研究を企図した。
また,本研究により,コウホート効果の現れ方において三つの生活習慣でそれぞれに異なった特徴が出現することが期待され,その分析結果は,わが国国民の健康の維持増進にとって貢献できると考えた。

[研究成果]
1. 平成16年調査の性・年齢(階級)別の健康に関連する継続的調査資料を収集追加した。
・飲酒習慣(国民健康・栄養調査)
・運動習慣(国民健康・栄養調査)
・喫煙習慣(国民健康・栄養調査)
2. 上記の資料を整理して,データベース化し,性別コウホート表を作成した。
3. コウホート表から,年齢(階級)×調査時点の『等計量線図』を作成し,生活習慣病関連の行動について俯瞰的に検討した。
4. 『ベイズ型コウホート分析』を,それぞれのコウホート表に適用し,時代・年齢・コウホートの3効果を分離して検討した。
5. その結果,最も若い世代のコウホート効果の現れ方に着目してみると,喫煙習慣においては男女とも低下が始まったようにみうけられるが,飲酒習慣においては,上昇傾向が続いており,特に女性で著しかった。運動習慣は,戦後生まれで高い割合を維持してきたが,昭和40年代以降の世代で低下が続いていた。
6. また,今回から追加した「習慣を中断した者」のコウホート分析においては,女性の喫煙習慣で妊娠-出産-子育て関連すると思われる,30-40歳代での年齢効果の存在が明らかになった。
7. 以上の結果をまとめて,19年度の公衆衛生学会への報告を予定している。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

[学会発表]
・なし (平成19年開催の,日本公衆衛生学会(松山市)にて報告の予定)
本年度の研究に関連するこれまでの研究発表
[論文]
・那須郁夫, 渡邉寿子, 中村 隆, 堀内俊孝 (2003). 日本人習慣飲酒のコウホート分析−国民栄養調査による−, 厚生の指標, 50(2), 1-8.
[学会発表]
・那須 郁夫, 渡邉 寿子, 中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹 (2001). 日本人飲酒習慣のコウホート分析, 国民栄養調査による, 日本公衆衛生学会, 高松市:全日空ホテルクレメント高松「飛天」
・那須 郁夫, 渡邉 寿子, 中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹 (2003). 日本人運動習慣のコウホート分析, 国民栄養調査による,日本公衆衛生学会, 京都市:国立京都国際会館
・那須郁夫,渡邉寿子,中村 隆(2004). 日本人飲酒習慣のコウホート分析,ベイズ型コウホート分析による,第39回日本アルコール・薬物学会総会,八王子学園都市センター・クリエイトホール
これまでの研究成果の一部(参考)
[論文]
・那須 郁夫, 中村 隆, 森本 基 (1996). 永久歯現在歯のコウホート分析,歯科疾患実態調査資料を用いて, 老年歯科医学, 11(2), 88-99.
・那須 郁夫, 中村 隆, 森本 基 (1996). 歯科疾患実態調査資料による歯磨き回数のコウホート分析, 口腔衛生学会雑誌, 46(3), 306-317.
・那須 郁夫, 森本 基, 中村 隆 (1984). 下顎第1大臼歯齲蝕経験のコウホート分析−歯科疾患実態調査報告資料による−, 口腔衛生学会雑誌, 34(3), 240-247.
[学会発表]
・那須郁夫,中村 隆, 堀内 俊孝,宮崎至洋,生田 明敏, 新保 秀樹,渡邉寿子(2005). 若い世代の齲蝕減少の要因としての歯の萌出遅延,DMF指数と現在歯数のコウホート分析による検討,第54回日本口腔衛生学会総会,品川区:きゅりあん.
・那須 郁夫, 中村 隆, 堀内 俊孝, 生田 明敏, 新保 秀樹, 渡邉 寿子 (2003). 日本人上顎第一大臼歯DMF歯数のコウホート分析, 歯科疾患実態調査による,日本口腔衛生学会, 北九州市:北九州国際会議場,
・那須 郁夫,中村 隆,堀内 俊孝,生田 明敏,新保 秀樹,渡邉 寿子 (2002). 乳歯齲蝕のコウホート分析,特に下顎第二乳臼歯について,第51回日本口腔衛生学会総会,大阪市:大阪国際会議場.

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 開催はありませんでした。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

生田 明敏

日本大学

新保 秀樹

日本大学

那須 郁夫

日本大学

堀内 俊孝

日本大学

渡邉 寿子

日本大学