平成91997)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

9−共研−77

専門分類

7

研究課題名

類洞の立体構造に影響を及ぼす肝細胞の面の数−その統計的解析

フリガナ

代表者氏名

シミズ ヒデオ

清水 英男

ローマ字

所属機関

順天堂大学

所属部局

医学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

正常肝と肝硬変における個々の肝細胞の面の数の分布、肝細胞の類洞に接する面の数を求める。その結果に基づき、コンピュータを用いた空間の多面体分割モデルにおいて、多面体の面に添ってシミュレーションし類洞を立体構築する。シミュレーションの結果と、以前清水が類洞の立体構造について求めた結果とを照らし合わせることにより、両群間における類洞の立体構造の差を生じさせているメカニズムを解明しようとするものである。


研究代表者の清水は、ヒト正常肝臓と肝硬変の組織の連続切片(厚さ1μm)を作成し、それらの切片にPAMとトルイジン・ブル−の重染色を施した。その結果、正常肝臓では肝細胞同士の境界線を明瞭に描出することができず、肝細胞の面の数を求めることはできなかった。
しかし、肝硬変ではその境界線が明瞭に描出できたため、19個の肝細胞についてその面の数を求めることができた。肝硬変の肝細胞は9面体から18面体まで分布していて、平均面数は12.4であった。また、個々の肝細胞の類洞に面する面の数は1面から3面まで分布していて、平均で1.52面であった。
今後、肝硬変においてはさらに多くの細胞について面の数を求め、正常肝臓については境界線が明瞭な症例を選び肝細胞の面の数を求めるつもりである。
またそれ以外にも、より明瞭な境界線を得る方法として、共焦点レーザー顕微鏡の使用について検討するつもりである。
一方共同研究者の種村は、昨年の準備に引き続いて肝細胞を3次元ボロノイ多面体と見なして、球のランダムパッキング構造のボロノイ多面体分割によって肝組織のモデルとし、類洞を空洞の多面体列と見なすモデルを立案しており、肝硬変における上述の観察結果に基づいて、類洞を具体的にどのように肝組織の中に埋め込むかを検討中である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

肝の小葉内では、肝細胞と類洞(微小血管網)の二者により空間が充填されている。清水はトポロジーの指標を用いて、ヒトの正常肝と肝硬変の類洞の立体構造の違いを求めてきた。今回はその類洞の立体構造の差を生じさせていると考えられる、個々の肝細胞の面の数・類洞に接する面の数の分布を清水が電子顕微鏡用の連続切片から計測する。 一方、種村はコンピュータを用いた空間の多面体分割モデルについて、その面上をランダムウォークするシミュレーション・プログラムを作成する。清水が求めた結果をもとに、そのプログラムでシミュレーションを行うことにより、ヒトの正常肝と肝硬変の類洞の立体構造の差を形成するメカニズムを解明しようとするものである。そのためには統計数理研究所との共同研究が必要かくべからざるものである。 なお現在平成8年度の研究費により、連続切片を作成しているが、その染色性に難点があり個々の細胞の端の部分が認識しにくい状況である。それゆえ今後の本研究の継続が是非必要である。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

種村 正美

統計数理研究所