平成212009)年度 一般研究1実施報告書

 

課題番号

21−共研−1020

分野分類

統計数理研究所内分野分類

e

主要研究分野分類

7

研究課題名

サービス品質の測定尺度構成法に関する研究

フリガナ

代表者氏名

テルイ ノブヒコ

照井 伸彦

ローマ字

Terui, Nobuhiko

所属機関

東北大学

所属部局

大学院経済学研究科

職  名

教授

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

サービス産業がGDPの7割、雇用の3分の2を占める現在の日本では、経済の活力維持のため、サービス産業を製造業とともに双発のエンジンとして経済を支えていく必要があることが指摘されている。経済成長戦略大綱(H18.5閣議決定)においては、研究開発力強化法第47条「社会科学又は経営管理方法への自然科学の応用にする研究開発を調査研究し、研究開発を推進させる」として、サービス科学研究の振興が求められている。本研究では、この流れに従い、サービスの質を測定する手法を開発することを目的とする。
既存のモデルとして消費者への調査データに対して因子分析を利用するSERVQUALが挙げられる。1988 年に開発されたSERVQUALは、現在まで、病院、図書館、公共体育館、ホテル、歯科、職業紹介、銀行、生命保険など、多くの業種に適用され、サービス品質の測定に利用されてきたが、因子数や種類が不安定であることや「期待」概念の導入への疑問など様々な問題点が指摘されている。
本研究では、これを出発点とし、最新の統計理論とツールを駆使して問題点を克服し、新しい尺度を開発する。計画の具体的ステップにより研究を実施した。
1. 先行研究のサーベイ
2. 既存手法の問題点の抽出
3. 新しい尺度開発と尺度の統計的性質の理論的研究

これらに対する本共同研究の研究成果は、以下の論点に整理できる。
・ SERVQUALまたはSERVPERFを下敷きとすることでとくに問題はない。
・ 質測定された側で制御可能なXとの関係性をモデルに取り入れて、質改善の道筋を示唆できるモデルを開発する=>SERVQUALがあまり普及してこなかった原因のひとつ(CSIも同じ)である。
・ Service profit chainのドライバー「従業員満足」を取り入れる=>「利用者の調査データ」と「会社内調査データ」のdata fusionを行う。
・ 閾値と受容域を取り入れた非線形(閾値)高次因子分析、SEMの開発
=>品質の下限の測定=>顧客離脱リスクの回避、上限(過剰品質の回避)の測定
=>サービス統計委員会「日米サービス品質比較調査報告」の結論
(i) 日本の方が品質は高い
(ii)しかし、過剰品質である=>サービスの低生産性
の(ii)の改善
・ データ取得の問題=>(1)企業と連携、(2)省庁公募事業に応募によって次年度以降に行う。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

・研究会報告レジュメ

・研究集会発表
2010年12月13−14日(於:東北大学)
科研費(A) 21243030による研究集会“マーケティングサイエンスの新展開”
長島 直樹(筑波大・院/?富士通総研 経済研究所)
       ""サービス評価に関する諸問題から""

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

テーマ:""サービス評価研究の系譜から""
日時:2009年8月1日(土) 12時30分から15時30分
場所:統計数理研究所 第2セミナー室(330号室)
講演者:長島 直樹(筑波大・院/?富士通総研 経済研究所)
参加者数:5名

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

川崎 能典

統計数理研究所

佐藤 忠彦

筑波大学

伴  正隆

目白大学