平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−70

専門分類

7

研究課題名

生活習慣と健康事象に関する疫学研究

フリガナ

代表者氏名

タカギ ヒロフミ

高木 廣文

ローマ字

所属機関

統計数理研究所

所属部局

調査実験解析研究系

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

3 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

悪性新生物、循環器系疾患、糖尿病などのいわゆる成人病の多くは、長年に渡る生活習慣の影響により発症に到るものと考えられている。我々は、生活習慣を把握するための調査票を開発してきた。
本研究の最終目的は、生活習慣と各種疾病の因果関係を明らかにする点にあるが、ここでは生活習慣、食物摂取量、生理学的検査項目間の各相関関係を明らかにすることを当面の目的とする。


平成2年度、3年度において、農業地域と漁業地域における生活習慣の相違と、各種の健康事象の関係を検討するために、生活習慣調査を実施した。さらに、平成4年度は東京都在住の婦人についても生活習慣等の調査を実施した。
本年度は、これらの調査データについて、とくに食習慣に注目して解析を行った。使用したデータは、平成2年度のものであり、個人の3日間連続の食事データである。
食物消費構造について各食事ごとに検討するために、農業地域の婦人62名、漁業地域の婦人50名の食事調査データから各食品群ごとの摂取量を求め、主因子法による因子分析を行った。その結果、各食事には特異なパターンが存在することが明らかになった。すなわち、因子負荷量から朝食では、米、味噌、豆、淡色野菜(漬物など)などが1つのクラスタを形成し、他方ではパン、油脂、果実、乳、乳製品などが1つのまとまりになっていた。これは、従来より言われている「伝統的食パターン」対「近代的食パターン」であり、これが第1因子として抽出された。
昼食においても、朝食と同様の食パターンが認められたが、第2因子において「麺と副食」という食パターンの存在が示唆された。
夕食においては、主食では「米」対「麺」が因子の正負に関係し、パンは主食にはなっていなかった。間食は、他の食事の副食(の残り)に関する因子と考えられた。また、パンと菓子類が1つのクラスタとなり、これに対する位置に麺類があった。これは地域的な食習慣の差に対するものと考えられた。
今回は、生活習慣のうちとくに「食習慣」について検討したが、今後は可能ならば新たな地域データなども加え、各種の健康事象との関係を統計的に解析する予定である。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

高木廣文、他、質問紙を用いた食塩摂取量推定について、民族衛生、第59巻3号、1993年5月


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

平成2年度以来、長野県中野市、千葉県安房郡白浜町で生活習慣調査を実施してきた。平成3年からは、各地域約100名の婦人を対象に、生活習慣検査、栄養調査、血液検査の各データを収集した。東京在住の婦人約100名についても同様の調査を実施した。
平成5年度には上記のデータに基づいた解析を行う。具体的には(1)生活習慣の23尺度得点と栄養調査(秤量法)による食物摂取量との相関関係の解析、(2)生活習慣尺度得点と血液調査による生理学的測定項目の相関関係の解析、(3)栄養調査の簡便法と秤量法の関係についての統計学的解析、の3点を中心として分析を進める。
ただし、必要に応じて上記地域での調査を実施し、とくに地域の特性が異なるので、(4)生活習慣、食物摂取状況、生理学的項目などの地域差についても統計学的に検討する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

金子 俊

文教大学

佐伯 圭一郎

大分県立看護科学大学