昭和631988)年度 共同研究実施報告書

 

課題番号

63−共研−34

専門分類

5

研究課題名

市街地における準マイクロ波帯伝搬特性に関する統計的研究

フリガナ

代表者氏名

サトウ サダオ

佐藤 定夫

ローマ字

所属機関

東京電機大学

所属部局

工学部

職  名

助教授

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

4 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

わが国においては新しい移動通信の周波数として準マイクロ波帯(1GHz〜3GHz)を用いることが決められている。新しい周波数帯を用いた通信方式の開発のためには電波伝搬特性の解明は不可欠である。そこで市街地における準マイクロ波帯の電界強度推定法について統計理論的に研究する。


63年度はこれまでの研究のとりまとめを重点的に行い,電子情報通信学会論文誌へ投稿し採録された。論文誌(B−II)の4月号に掲載される。
この論文のあらましは以下のとおりである。
あらまし この論文では,都市内移動通信方式の設計に必要な,市街地におけるUHF帯の平均電界強度の推定法について述べている。
ビルが密集した市街地の道路上には,ビルの上部からの回折波およびビルの壁面からの反射波などが到来する。従って,道路上の電界強度はビルの高さ・密度および道路幅などに依存する。
東京都内におけるビルの高さおよび間隔の分布を調査した結果は共に指数分布で近似されることがわかった。
この結果にもとづき,ビルの高さは指数分布,位置はポアソン点過程に従うと仮定して電算機シミュレーションによりUHF帯電波のビル回折損の平均値を計算し,その距離特性を推定した。
奥村カーブ作成の基になった1962および65年の東京周辺における電界強度中央値の測定値ならびに最近の東京,香港,シンガポール等における測定値と上記モデルによる推定値とがほぼ一致することが確認された。
さらに,電算機シミュレーションを用いてビルの平均高をパラメータとして平均伝搬損の距離特性,ビルの平均間隔との関係などについて考察した。
その結果,現在移動通信に使用されている300,400,900MHz帯,今後予定されている1500,2200,2600MHz帯について平均伝搬損の推定式(回帰式)を導出した。平成元年度はこれらのとりまとめ,および追加検討を行う。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

「都市内移動通信におけるUHF帯平均電界強度の推定」 佐藤,樋口,森田,武井
電子情報通信学会論文誌 B−II


研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

市街地の道路上においてはビルにより回折または反射された電波が受信される。したがってビルによる電波の回折損失を計算することにより道路上の電界強度を推定することができる。これまでの研究においてはビルの高さ分布を指数分布,位置はポアソンの点過程に従うと仮定して電算機シミュレーションにより,ビルによる電波の回折損失を計算して電界強度を推定した。そして電界強度測定値と推定値の比較を行ない両者がほぼ一致することがわかった。昭和63年度はさらにビルの高さおよび間隔の分布のパラメータを変えて回折損失の計算を行なう。また,それらの計算値を用いて市街地における電界強度の推定式を作る問題について研究する。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

長谷川 政美

統計数理研究所

樋口 伊佐夫

帝京技術科学大学

森田 和夫

(株)セコムテクニカルセンター