平成51993)年度 共同研究A実施報告書

 

課題番号

5−共研−45

専門分類

5

研究課題名

粒子の集合体の動力学とその統計

フリガナ

代表者氏名

ニシモリ ヒラク

西森 拓

ローマ字

所属機関

茨城大学

所属部局

理学部

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

5 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

砂、地盤など多種で多数の粒子から構成される系の統計的性質を調べる。これらの系は、印加外力の強さ、変動速度に応じて、弾性体的な振舞いや流体的運動(地盤流動など)、あるいは空間的時間的に極めて不規則な動き(亀裂発生、地崩れなど)を見せる。
これらの系に対する非線形動力学模型を構築し、時系列、空間構造の特徴を明らかにする。


本研究では、粒子の集合体、とくに、砂を中心とする粉体の動力学とその統計的特徴について研究を行ってきた。具体的には、粉体に様々な外場(卓越風、振動など)を印加した場合、外場の種類と強さに応じて非常に多彩な振舞いをする事が分かった。
中でも、主として砂地形の動力学に関して次のような著しい成果を上げた。1.風による、砂粒の転がりと跳躍を素過程として、砂地形の動力学を数値的に再現した。2.特に風紋が発生する条件として、ある臨界値以上の卓越風が必要であることを数値的に示し、同時に、理論的な解析を行ってその機構を明らかにした。3.風紋より大規模な地形である砂丘について、その形状の多様性の原因を理論的に説明した。4.複数の大きさを持つ粒子の系では、大きな粒子が上に集まってくるという一種の相分離がおこる現象を数値的に示し、その機構を考察した。
以上の結果は、下記の論文の他、nature誌のNews欄(No.6436 July(1993))でも大きく紹介され海外にも反響を得た。


 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

早川尚男、西森 拓、佐々真一、田口善弘、"粉体の物理とパターン形成 "日本物理学会誌 Vol.49, No.1 1994年1月5日 他

西森 拓、大内則幸 ‘飛砂による地形の動力学2’日本物理学会、 1993年10月14日
大内則幸、西森 拓 ‘砂丘形成の動力学モデル’日本物理学会、 1993年10月14日

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

砂、地盤の動力学を扱う場合、系を連続体と見なすと、(速度場、変位場などの)場の方程式によって系を記述できるが、一方、亀裂の大量発生などによって、著しい不連続性が系の運動を支配するようになると、場に固定された変数では系を扱いきれなくなる。
このような系の二面性に対して、包括的な理解を行なうため、一方では場の変数に着目した現象論的模型を連結写像格子で作り、同時に系の離散性を強調した計算を離散要素法などで行い、両者の比較検討をする。
さらに、少数亀裂の発生、地崩れなど、興味深い現象が発生する領域に対して、上の両者の中間的な模型を構築し解析する。共同研究者には、統計力学、確率過程、時系列の専門家が含まれており、相互の議論と数値実験を通じて、系の統計的特徴付けが著しく発展すると思われる。


 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

伊庭 幸人

統計数理研究所

大内 則幸

東京大学大学院

田口 善弘

中央大学

Foong See, Kit

茨城大学