平成212009)年度 共同利用登録実施報告書

 

課題番号

21−共研−11

分野分類

統計数理研究所内分野分類

i

主要研究分野分類

5

研究課題名

(1)不安定周期軌道による乱流統計量の予測 (2)乱流の直接数値シミュレーション

フリガナ

代表者氏名

カワハラ ゲンタ

河原 源太

ローマ字

Genta Kawahara

所属機関

大阪大学

所属部局

基礎工学研究科機能創成専攻

職  名

教授

 

 

研究目的と成果の概要

本研究の目的は,種々の乱流中の秩序構造及び大規模乱流構造の統計的特性をサドル解によって解明し制御することである.乱流の代表例として,平行平板間乱流,等方乱流を取り上げ,サドル解を用いたアプローチにより,様々な乱流中の秩序構造と大規模構造の統計的特性を解明する.さらに,サドル解を安定化することによって,乱流運動量・熱輸送現象の制御を実現する手法を提案する.
平面クエット系に対してニュートン・クリロフ法によるサドル解の数値計算を実施し,従来よりも高分解能の数値解を求めた.さらに,これまでに求められていなかった新規の周期解をいくつか求めることに成功した.特に,乱流アトラクターと層流アトラクターの吸引領域境界に存在する静穏周期解を再計算し,その線形安定性を解析した.解析により得られた不安定固有空間を非線形域にまで延長し,その二次元不安定多様体を同定した.
等温の平面クエット流において既に求められている乱流状態をうまく再現する不安定周期解をレイリー・クエット系にまで延長した.数値計算にはニュートン・ラフソン法を用いた.レイリー・クエット系におけるこの周期解を,剪断を減少させながら計算し,剪断が存在しないレイリー・ベナール系における不安定周期解を求めることに成功した.
等方乱流に対しては,ニュートン・クリロフ法を用いることで,従来既に求められていた,等方乱流のエネルギースペクトルを再現する木田の高対称流における不安定周期解を空間分解能で高め,高レイノルズ数域にまで解を延長した.