平成162004)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

16−共研−2046

専門分類

7

研究課題名

水産資源に対する観察データ解析のための統計推測

フリガナ

代表者氏名

キタカド トシヒデ

北門 利英

ローマ字

Kitakado Toshihide

所属機関

東京海洋大学

所属部局

海洋科学部

職  名

助手

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

8 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

水産資源の利用と管理を適切に行うには,資源管理の単位となる系統群の判別と分布状況を解明し,系統群の死亡率,加入率の量的変化や,種間の相互関係,さらには環境の影響を把握していかなければならない.一般に,我々観測者は水産資源の生息域を直接観測できない場合が多く,資源解析のために利用される調査データおよび漁業データは,観測値のバイアス,ランダムサンプリングからのズレ,データを取得する状況の不均一性に起因する超過変動など,解析を困難にする要因を多く抱える傾向にある.したがって,統計的推測を行う上で土台となるデータとモデルの不確実性は大きく,そのため推測も複雑で困難となることが多い.

 そのような水産資源を対象とした解析のアプローチとして,最尤法,ベイズ的手法をはじめ,最近ではセミパラメトリックモデル,推定方程式,経験ベイズ法など多くの手法が利用されはじめている.また,情報量規準をはじめとするモデル選択手法や,その不確実性を考慮した解析も活発に議論されている.

 そこで本研究では,水産資源に対する観察データの性質を考慮した推測方法に関して改めて議論するとともに,適切な統計的手法の選択や新たな推測方法の提案について検討を行った. 今年度の共同研究で取り扱った具体的なテーマとして,「遠洋水研におけるマグロ類の資源解析?資源評価と資源管理のプロセスについてー」,「相関のあるテレメトリーデータからの生息地選択性指数の推定」,「年齢別漁獲尾数データのVPA解析」,「アカイカ公海流し網漁業をめぐる統計的問題」について議論を深めた.またこれまで水産資源解析では注目されることの少なかった「観測バイアスについて」について数宅的な理解を深めるとともに,「独立成分分析」など「ニューラルネットワークモデル」などの学習理論についても今後の適用可能性について議論した.また今後,水産資源解析における実験の計画の精密化,ベイズ的方法論の積極的な適用,そして既存のモデルに縛られないモデルの考察のためにパラメトリックとノンパラメトリックとの融合を積極的に行う必要があると考える.

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

庄野 宏 (2004). CPUE標準化に用いられる統計学的アプローチに関する総説
           水産海洋研究 68(2). p.106-120

清田雅史・岡村 寛・米崎史郎・平松一彦(2004)資源選択性の統計解析-I. 基礎的な概念と計算方法. 哺乳類科学 44(2), 129-146.

岡村 寛(2005)生態系モデルの現状と将来. 月刊海洋37(3), 205-211.

Kitakado, T. et al. (2005) Estimation of natural mortality coefficients for Antarctic minke whales through VPA studies. Paper JA/J05/PJR4 presented to JARPA review meeting, January 2005(unpublished).

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

本研究は研究代表者を含む研究参加者による意見交換・討論・セミナーを通して行った.

第1回 平成17年2月10日 統計数理研究所 研修室,参加人数9名(メンバー外1名含む)
「遠洋水研におけるマグロ類の資源解析?資源評価と資源管理のプロセスについてー」,「相関のあるテレメトリーデータからの生息地選択性指数の推定」,「年齢別漁獲尾数データのVPA解析」,「アカイカ公海流し網漁業をめぐる統計的問題」,「観測バイアスについて」,「独立成分分析」

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

江口 真透

統計数理研究所

岡村 寛

水産総合研究センター 遠洋水産研究所

庄野 宏

水産総合研究センター 遠洋水産研究所

袴田 高志

(財)日本鯨類研究所

平松 一彦

水産総合研究センター 遠洋水産研究所

南 美穂子

統計数理研究所

吉岡 耕一

東京医科歯科大学