平成162004)年度 一般研究2実施報告書

 

課題番号

16−共研−2026

専門分類

6

研究課題名

応力変化に起因する地震活動の時間変動

フリガナ

代表者氏名

イワタ タカキ

岩田 貴樹

ローマ字

Iwata Takaki

所属機関

防災科学技術研究所

所属部局

固体地球研究部門

職  名

特別研究員

所在地

TEL

FAX

E-mail

URL

配分経費

研究費

0千円

旅 費

0千円

研究参加者数

2 人

 

 

 

研究目的と成果(経過)の概要

大きな地震の後、その断層運動による応力変化によって周辺の地震活動が変動する現象(地震誘発現
象)は近年注目を集めている。その応力変化と地震活動との関係の定量化が行われ、それを用いた余震
活動予測への応用が試みられつつある。他方、潮汐による応力変化に伴う地震誘発現象に関しても、研
究が進められている。
 1995年兵庫県南部地震後数年間にわたり、本震断層に隣接する丹波山地の地震活動が月齢と相関を持って
いることが指摘されている[片尾,2002,地学雑誌]。兵庫県南部地震の断層運動により、丹波山地の応力
が高められ、その結果として月齢に関連する応力変動に伴って地震活動度に変動が生じたと考えられ
る。この現象の統計的有意性を確かめるために、点過程モデルを用いた解析を行った。
 時刻tにおける地震の強度関数λ(t)を以下のような式で表現する。
ここで第1項は定常的な地震活動、第2項はトレンド、第3項は地震のクラスター性をそれぞれ表す。
第4〜7項が月齢に関係する潮汐に対する地震の周期性を表し、第4、5項が新月から次の新月までを1
周期とした周期項に(以下「一月周期」)、第6、7項が新月から満月、または満月から新月までを1周
期とした周期項に(以下「半月周期」)それぞれ対応する。また、ti,Miはi番目の地震の発生時刻とマ
グニチュード、Mzは用いる地震のマグニチュードの下限、θ1(t)、θ2(t)は時刻tにおける一月周期、半
月周期の場合での位相角である。
 このモデルを兵庫県南部地震後4年間の丹波山地の地震の時系列に当てはめた。最適となるパラメータ
セットを最尤法を用いて求める。A1(t)、A2(t)、B1(t)、B2(t)は定数とした場合だけでなく、多項
式とした場合の解析も行い、相関の強さが時間変動も考慮することにし、モデル比較をAICに基づいて
行った。解析の結果、A1(t)、A2(t)、B1(t)、B2(t)を多項式としたモデルがもっともよいモデルと
して選択された。また、相関の強さに対応する■の値は、兵庫県南
部地震発生直後に高く、時間を経るにつれ減少することが分かった。そして、兵庫県南部地震発生
後、約3年でほぼ0になった。即ち、月齢との相関が見られる期間は3年程度であったことが示
唆される。

 

当該研究に関する情報源(論文発表、学会発表、プレプリント、ホームページ等)

岩田貴樹・片尾浩,点過程モデルを用いた月齢と丹波山地の微小地震の相関に関する解析,2003年日本地
震学会秋季大会予稿集,A062,2003
 Iwata,T.,Katao,H.,A correlation between the phase of the moon and the occurrences of
microearthquakes in the Tanba plateau through point-process modeling(in preparation)

研究会を開催した場合は、テーマ・日時・場所・参加者数を記入してください。

 

研究参加者一覧

氏名

所属機関

尾形 良彦

統計数理研究所